総領事レター(令和3年1月)

2021年10月12日
 新年明けましておめでとうございます。謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 
 11月5日に着任して約2ヶ月が経ちました。この間、中国東北地域と日本との関係の深さを強く感じました。私は、昨年12月3日から4日の大連市への出張に続き、同月20から21日、着任後初めて吉林省長春市を訪問しました。長春日本商工会の親睦会に出席した際には長春市で活躍されている多くの日本人や関係者の方々と交流しまして、長春市内で日本に毎年多数の中国人留学生を派遣している日章学園高中や日系自動車工場を訪問させていただきました。そして、張志軍・長春市長にお会いし、席上、張市長は、長春市と日本との経済貿易分野の交流、地方間交流が非常に盛んであり、今後もより多くの分野で実務的な交流や協力を深めていきたいと述べておりました。
 
 そのわずか2日後の23日には、再度長春市を訪問し、韓俊・吉林代理省長と会見しました。席上、韓省長は、吉林省は日本との交流を重視し、豊かな成果を挙げてきたと述べ、自動車、観光、食品加工、物流などの分野での対日協力強化への期待を表明しました。
 
 その午後、吉林大学を訪問し、「日中文化・スポーツ交流推進年」認定事業であり、当館と吉林省人民対外友好協会が共催する「日本伝統武道剣道レクデモ」に出席しました。長春市で長年剣道の普及に取り組んでいる張永館長を講師に招き、日本の武道の一つである「剣道」の精神、礼儀作法、基本動作に関して公演、実演いただいたほか、吉林大学の学生代表に竹刀を用いて実際に剣道を体験していただきました。参加した学生からは、「初めて間近で日本文化に触れた」、「剣道を学んでみたい」などの感想が寄せられました。今後、剣道をはじめ日本の武道を通じた交流が盛んになることを願っています。
 
 イベント後には、姜治瑩・吉林大学党委書記と会見し、同大学と日本との学術交流に関して意見交換しました。また、同大学内に日本国際交流基金が設立した「長春ふれあいの場」を訪問し、同大学日本語学科の学生と懇談したほか、同学科の教員と日本語教育について話し合いました。参加した学生はいずれも流暢な日本語を話し、東北地域における日本語水準の高さに驚き、今後の日中交流にとって頼もしく感じました。
 
 2020年からの新型コロナとの取り組みは、新しい年2021年においても中国及び日本の共通する課題となっています。日中それぞれの医療、感染対策の第一線でご尽力されている医療関係者、政府関係者をはじめ、各企業や個人での感染対策の取り組みに敬意を表するとともに、早期の終息を願っております。昨年9月の菅総理と習近平国家主席の電話会談や同11月の日中外相会談で一致したように、今後とも双方で協力しながらこの感染症との闘いに一緒に努力していきたいと考えます。
 
 当館としては、日中関係のさらなる発展に向け、2021年「丑年」の本年は、地に足をつけ、一歩一歩着実に前進していきたいと思います。特に、今回ご報告しましたように、ビジネスや観光、学術、文化など多くの分野で、日本と東北3省との交流、協力を促進するとともに総領事館の最も重要な仕事である、当地で暮らす在留邦人の皆様の安全・安心、進出している日系企業の皆様の事業の発展のため、全力を尽くす所存であります。引き続き、皆様の御支援をよろしくお願い申し上げます。こうした取り組みを根気よく続け、一つ一つの成果を積み重ねることによって、日中国交正常化50周年を迎える明2022年に向けた日中新時代の基礎をしっかりと固めていきたいと思います。このためにこのレターを読んで頂いている皆様のご理解やご協力を改めて御願いしたいと考えます。
 
 最後に、皆様の益々のご健勝と2021年が実り多い年になることを祈念致しまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。

 
  在瀋陽日本国総領事