吉林省・黒龍江省の経済月報(2006年3月)

1、全体動向 

(1)東北地区振興計画編成第一回会議を開催 東北3省

 国務院東北振興弁公室と国家発展改革委員会は2月28日、東北振興の総合計画である「東北地区振興計画」策定のための第一回会議を開催した。中央政府の各部署、東北3省や内蒙古自治区の代表、国家開発銀行の幹部などが出席した。計画を策定する専門グループを立ち上げ、東北地域の経済一体化に向けた具体的な指針作りに着手する。

東北振興弁公室の張国宝主任は「東北振興を推進する上で、地域ごとの経済が閉鎖的だったり、産業の重複や環境保護における協調性が不足しているなどの問題が目立つ」と指摘した。大型インフラ建設や重点産業発展には、各省や区の間の話し合いだけでなく、総合計画の策定が必要であるとの見解を示した。具体的には、第十一次五カ年計画期間における目標と戦略重点、交通・エネルギー・水利事業の発展目標と方向性、重点産業の発展指針と目標、周辺国との経済関係や東北アジア連携に関わる具体策などを盛り込む。(3/1振興東北網)

(2)第十一次五ヵ年規画中、鉄道建設に553億元を投資 黒龍江省

7日、黒竜江省政府と鉄道部は同省の鉄道建設を急ぐことで合意した。ハルビンと大連を結ぶ旅客専用線やハルビン−チチハル間の鉄道建設、同省東部の石炭輸送路線の拡張、綏芬河国境付近の路線拡張などを進める。黒龍江省と鉄道部は第十一次五ヵ年計画期間中、同省の鉄道建設に総額553億元を投資する。このうち、国有鉄道プロジェクトは12件(219億元)、合弁プロジェクトは3件(293億元)、地方鉄道プロジェクトは8件(41億元)だという。(3/8黒龍江日報)

2、対外経済 

(1)吉林省の2005年対露輸出額が93%増 吉林省

税関統計によると、吉林省の2005年対露貿易は対前年比65.6%増の1億7,929万米ドルを記録した。うち、輸出は93.9%増の1億4,274万米ドルで、輸入は5.5%増の3,653万米ドルだった。黒龍江省には金額では大きく及ばないものの、貿易総額と輸出額の伸び率では上回っている。吉林省から露への輸出品は繊維・アパレル品が中心で、紡織原料・製品が全体の24.6%、靴・帽子が23.6%、毛皮衣料が12.3%を占めた。露からの輸入品は石綿、冷凍タラ、木製品で全体の76.1%を占める。(3/13新華網)

3、産業 

(1)大慶油田、原油は減産、天然ガスは増産 黒龍江省

中国最大の石油生産基地・大慶油田はこのほど、2006年の原油生産量を4,310万トンに減産、天然ガス生産量を26億立方メートルに増産する計画を明らかにした。2005年実績では、原油生産量4,495万トン、天然ガス244,295立方メートルで、原油は減産、天然ガスは増産の傾向が今年も続く見通し。同油田では資源枯渇への懸念から、2003年以降は原油生産量を抑制している。一方で、2005年には埋蔵量1,000億立方メートルと見られる慶深ガス田が発見され、天然ガス開発に力を入れている。(3/1黒龍江日報)

(2)海南航空が吉林省の観光事業に投資 吉林省

1日、海南航空集団は吉林省の国有旅行会社である吉林省旅遊集団の買収契約を結んだ。3億6,000米ドルを投資して吉林省旅遊集団の増資を行い、その後、株式の60%を取得する。海南航空は吉林省旅遊集団が展開する旅行会社、ホテル、観光資源を利用し、自社の航空サービスやホテル業と合わせて吉林の観光事業を開拓する方針。(3/2東亜経貿新聞)

4、国有企業 

・特になし 

5、農業・農村・農民 

(1)北大荒の米輸出、8万トンで東北最大 黒龍江省

 黒龍江省の米流通大手・北大荒米業の2005年の米輸出量は8990トン、2,969万米ドルにのぼり、東北の業者としては最大になった。同社は昨年、パプアニューギニア(2万トン)、プエルトリコ(25,000トン)の大口注文を受注。ロシアには近年で最も多い9,282トン、香港へも過去最高の7,677トンを輸出した。また、カザフスタンにも新疆経由で初めて480トン出荷した。(3/27黒龍江日報)

6、労働・社会保障 

(1)2005年の農民の出稼ぎ収入は129億元 黒龍江省

黒龍江省農民の出稼ぎ収入が2005年は対前年比21.6%増の129億元に達した。出稼ぎ者の数は同12.6%増の402万人。同省では近年、農村の余剰労働力問題を解決するために労務移出政策に力を入れている。省内には出稼ぎ予備軍のための職業訓練施設が700箇所以上あり、外地にも同省出身者のためのサービスセンターを設置している。2006年は450万人を出稼ぎに出し、160億元の労務収入をあげる目標。(3/26黒竜江日報)

7、環境 

(1)松花江の水質汚染防止計画を実施 黒龍江省

 国務院が29日に「松花江流域水質汚染防止計画(20052010)」を可決したことを受け、黒龍江省環境保護局や関係部門は会議を開き、重点取り組みなどを確認した。この「計画」によると、第十一次五カ年計画中、中国は松花江流域で224プロジェクトを実施する予定で、134.1億元を投資する。うち、黒龍江省域内で実施するプロジェクトは118件、79.5億元。2010年までに黒龍江省領内の松花江域の水質をワンランク向上させ、都市の汚水処理率を現在の16.3%から70%に引き上げる目標。(3/31黒龍江日報)

8、その他 

(1)吉林省で新たに3空港を建設 吉林省

吉林省は第十一次五カ年計画で省内に5つの空港を整備する予定。既存の長春、延吉の2空港に加え、すでに建設認可された長白山を開設し、さらには北西部の白城、南部の通化でも建設のための準備作業をスタートさせる。(3/2東亜経貿新聞)

(2)ミズノが長春アジア大会のパートナーに 吉林省

2007年に長春市で開催される第6回アジア冬季競技大会の組織委員会は18日、ミズノとパートナー契約を結んだ。ミズノは同大会に参加するIOC(国際オリンピック委員会)やOCA(アジア・オリンピック評議会)の関係者、審判、記者、ボランティアに対して同社の冬季スポーツ用品を提供する。長春アジア冬季大会は2007128日〜24日の日程で開催される。(3/20NNA

(3)長春国際医薬健康産業博覧会を開催 吉林省

29日、第四回中国(長春)国際医薬健康産業博覧会が開幕。600社以上の国内医薬品企業が参加した。初日の来場者は3万人にのぼった。また、同日午後には「長春国家バイオ産業基地兼長春国家医薬品輸出基地」の除幕式を開催。同バイオ産業基地は全国で3カ所あるうちの一つで、東北地方では初めての基地。(3/30東亜経貿新聞)

(4)UNDP図們江地域プロジェクト関係者が琿春を視察 吉林省

29日、UNDP(国連開発計画)の図們江地域プロジェクト秘書処主任一行が、国家商務部や吉林省などの関係部門の同行の下、琿春市を視察し、地元政府部門や企業などと座談会を開催した。今回の訪問は、昨年9月に長春で開催した「UNDP図們江地域開発プロジェクト第八回政府間協議」で、「大図們江地域関係各国間の経済貿易、観光、エネルギー、交通分野での協力や開発を強化する」というメンバー5ヵ国による合意事項の実現に向けた視察。

同秘書処主任は今後の課題として、1)金融や科学技術分野の専門家をメンバーとした委員会を設立し、調整力を向上させ、各国間の国際交流や協力上の障壁を取り除くこと、2)共同基金会を設立し、新たな融資ルートをつくり、同地域への投資不足という問題を解決することの2点を指摘した。(3/30図們江報)

以上