吉林省・黒龍江省の経済月報(2006年4月)

1、全体動向 

(1) 長江デルタに「学習視察団」派遣  黒龍江省

 黒龍江省は 9 〜 21 日にかけて、上海、江蘇、浙江の 3 省・直轄市に「上海・江蘇・浙江学習視察団」を派遣した。同視察団は、黒龍江省への投資誘致活動を行い、現地視察を通じて長江デルタ地域の経済発展の経験を吸収する目的で組織された。

9 日から上海で 3 日間の企業視察、双方幹部による座談会などを行い、「上海市−黒龍江省の更なる協力交流強化に関する合意書」に調印したほか、黒龍江旧工業基地振興商談会を開催した。 12 日午後からは江蘇省に移動し、昆山、蘇州、江陰、南京で 5 日間にわたる現地視察を実施。輸出加工区や新興開発区を視察し、ハルビン−大慶−チチハル工業回廊や対露経済貿易協力に関する説明会などを実施。 15 日からは浙江省での視察を開始。経済社会発展状況交流会などを開催した。

13 日間に及ぶ学習視察で、 3 省の 15 市区 21 県を訪問し、黒龍江省への投資誘致説明会や商談会を通じて、 116 プロジェクト、 159 億 4,200 万元の契約を結んだ。(4/4〜24黒龍江日報)

(2)第1四半期の貿易額、全国最大の伸び率 黒龍江省

黒龍江省商務庁の統計によると、同省の今年第1四半期( 1 〜 3 月)の貿易額は、昨年同期比 45.9 %増の 25 億 8,000 万米ドル(過去最高額)にのぼり、伸び幅で全国最大となった。全国平均を 20.1 ポイント上回った。輸出は同 37.4 %増の 14 億 1,000 万米ドル、輸入は同 57.6 %増の 11 億 7,000 万米ドルだった。相手国・地域別では、対露貿易が 26.3 %増の 12 億 3,000 万米ドルで最大だった。以下、サウジアラビア、米国、日本、韓国、香港の順。(4/13黒龍江日報)

(3)第1四半期GDP、吉林省10.4%増、長春13.2%増 吉林省

20日、吉林省統計局の報道官は、今年第1四半期の全省GDPは昨年同期比10.4%増の714億6,400万元(同81億1,200万元増)となると発表した。(4/21東亜経貿新聞)

26日に開催された長春市第1四半期経済運営状況に関する記者発表によると、今年第1四半期の長春市GDPは、対昨年同期比13.2%増の381億4,000万元となった。自動車工業の生産額が同20.8%増の333億3,000万元と大きく回復したことが目立つという。うち、第一汽車集団の生産額は同5.5%増の146億5,000万元で、利潤は昨年同期の8,000万元から2億元に増えたという。(4/27東亜経貿新聞)

2、対外経済 

・特になし

3、産業 

(1)酪農プロジェクトに 15 億元投資  黒龍江省

黒龍江省は3日、総額 14 億 8,000 万元を投じる乳牛牧畜振興プロジェクトを始動した。世界銀行から 1 億米ドルの融資、イタリア政府から 550 万米ドルの援助を受けて同プロジェクトを推進する。中国牧畜業に対する世界銀行の融資としては、単一プロジェクトで過去最高額になるという。同プロジェクトでは、モデル牧場の建設や海外からの優良種の導入、草原の生態環境改善などに取り組み、産業全体のレベルアップと競争力強化を図る。対象地域は 8 市 20 県で、約 1 万世帯の農家が資金援助を受けることになる。(4/4黒龍江日報)

4、国有企業 

(1) 2005 年末までで、 171 社の国有大中型企業が体制改革を完了  黒龍江省

2003 年後半から、国の東北旧工業基地振興政策に沿って、国有大中型企業の財産権制度改革を重点とする新たな国有企業改革を実施してきた。その結果、 2005 年末までで、全省 171 社の大中型企業が体制改革を完了し、企業の財産権構成も改善され、国有持ち株制の比率は 17 に%、混合所有制の比率は18.7%に、政策制破産を含む国有株の退出は64.3%になった。(4/21黒龍江日報)

5、農業・農村・農民 

(1)トウモロコシ加工の大型化学プラントが着工  吉林省

 穀類加工大手の吉林糧食集団は長春市の経済開発区でこのほど、トウモロコシを原料に使用する化学プラントに着工した。総投資額は 10 億元。年間 100 万トンのトウモロコシを加工し、石油製品の代替となるアルコール類 30 万トンを生産する予定。(4/6吉林日報)

(2)国家開発銀行、黒竜江省の新農村建設に 160 億元融資  黒龍江省

4 日、黒龍江省の栗戦書副書記は、国家開発銀行の高堅副頭取一行と会見した。この席で、高副頭取は黒龍江省の新農村建設推進のために 160 〜 200 億元の融資を行う意向を示した。(4/5黒龍江日報)

6、労働・社会保障 

(1)5月から最低賃金引き上げ  吉林省

吉林省は5月1日から最低賃金基準を引き上げる。これは 2003 年 9 月以来の調整で、長春、吉林の市区では月額 360 元から 510 元に、パートタイム労働者の時給は 3 元から 4.2 元に上がる。その他の都市では、月額 330 元から 460 元に(四平、遼源、通化、白山、松原、白城、延吉、琿春)、月額 300 元から 410 現に(その他の県・市)へと引き上げられる。(4/15東亜経貿新聞)

(2)非公有経済の年金加入者数が加入義務者数の 45 %に  吉林省

吉林省の非公有経済の年金(養老保険)加入者数が、3月末までに 146.1 万人(対前年比 95 %増)に達し、全省の加入義務者総数 324.4 万人の 45 %を占めた。これは吉林省の年金加入者の構造に大きな変化が発生したことを意味しており、非公有経済が年金加入者の重要な部分になったことを示す。(4/20中国労働保障報)

(3)長春市、個人少額担保ローンの貸付限度額を5万元に引き上げ  吉林省

今年から、長春市区内で「再就業優遇証」を持つレイオフ・失業者に対する個人少額担保ローンの貸付限度額がこれまでの3万元から5万元に引き上げられる。また、ローン受給対象者の範囲も「再就業優遇証」保持者、都市部登録失業者、都市部の復員転職した退役軍人、大学など高等教育機関卒業生で起業を目指す人、長春市外から来た就業者でローン融資条件に合う人などに拡大された。(4/25東亜経貿新聞)

(4)5月から最低賃金引き上げ  黒龍江省

黒龍江省は5月1日から最低賃金基準を引き上げる。全省の平均最低賃金は月額461元で、2004年比162元増(54%増)となる。新たな最低賃金レベルは7段階に区分され、大慶市620元、ハルビン市590元、チチハル・牡丹江等475元、鶏西・鶴岡等450元、大興安嶺地区等420元、伊春・県級市400元、その他各県380元。(4/26黒龍江日報)

7、環境 

(1)国務院秘書長ら、松花江の水質汚染改善の取り組みを視察  黒龍江省

11 、 12 日の両日、国務院の華建明秘書長、国家環境保護総局の周生賢局長、国家安全監督総局の李毅中局長ら一行が黒龍江省を訪れ、松花江の水質汚染改善の取り組みぶりを視察した。黒龍江省の党委、政府トップも同行した。(4/13黒龍江日報)

8、その他 

(1)第 1 四半期、非公有制経済が大きく成長  黒龍江省

第 1 四半期、黒龍江省の非公有制経済の生産額(付加価値ベース)は 480 億元、納税した税金は 35 億元で、それぞれ対昨年同期比で 20 %増、 21 %増と大きく伸びた。全省 13 市のうち、 8 市で 20 %以上の伸びとなっている。業種別に見ると、医薬品、木材、農産物、機械加工が順調に伸びている。例えば、牡丹江市は露木材輸入分野で大きく成長しており、木材加工産業の集積が進んでおり、一定規模以上の木材加工企業が 2,000 社に達し、今年の営業収入は 10 億元近くなると見込まれている。(4/13黒龍江経済報)

(2)高速道路、年内に 5 本を着工  吉林省

吉林省では今年中に高速道路 5 本を着工する予定。総延長は 632 キロメートルになり、同省の高速道路建設としては年間で過去最大規模になる。この 5 本は、江密峰−琿春高速道路、通化−瀋陽高速道路の吉林省内区間、長春−松原高速道路、肇源−松原高速道路、伊通−遼源高速道路。同省の第十一次五ヵ年計画での交通発展計画によると、高速道路総延長は 2,000 キロメートルに達する予定で、現在までに 542 キロメートルが建設されている。(4/ 18 吉林日報)

以上