黒龍江省経済月報(2004年6月)

■は日本関連

1.概況

□黒龍江省旧工業基地振興に関する人材分野政策を視察するため、中央組織部、人事部、国務院国資委、国務院「東北弁」、東北3省の責任者などが3、4日の両日、黒龍江省を訪問。(6/6黒龍江日報1面)

 

2.財政・金融

□特になし

 

3.対外経済

□鶴崗鉱業集団と大連華豊企業集団が共同投資した「燃料メチルアルコール年産120万トンプロジェクト」にカナダ企業が参入することが決まり、4日調印式を実施。(6/5黒龍江日報)

□中露国境にまたがる4.5平方キロメートルの「綏芬河−露ボグラニチネ貿易総合体」の建設開始。03年綏芬河の対露貿易額は19.1億ドルで、中国の対露貿易の12%を占める。(6/4、10黒龍江日報)

□第15回ハルビン商談会を15〜19日まで開催。世界28ヵ国地域の経済貿易代表団が招待された。ロシア極東地域や西シベリアからは過去最多の192企業が参加。43ヵ国地域の23団体が契約にこぎつけ、国内貿易契約総額は73.1億元にのぼった。「対外経済技術協力プロジェクト調印式」では、16項目、総投資額5.1億ドルの投資プロジェクトに契約(うち4.4億ドルが外資)。「国内経済技術協力プロジェクト調印式」では、重点プロジェクト86項目、総投資額166.5億元(誘致額は155.3億元)の調印を行った。(6/13〜20黒龍江日報)

□国務院新聞弁公室のプレスリリースで馬秀紅商務部副部長は、04年1〜5月、東北3省に対する外資誘致額は全国平均11%増を大きく上回る伸び見せ、黒龍江省の外資新契約は前年同期比118%増、実行ベースの外資利用額は27.79%増と述べた。(6/17華商晨報など)

□米国商務省のエバンズ長官を団長とする代表団が黒龍江省を視察。中米経済の更なる協力強化で合意した。(6/22黒龍江日報)

□「黒龍江省−イスラエル経済貿易商談会」を25日、ハルビンで開催。イスラエルのエフード・オルマート首相代理兼産業貿易相は、黒龍江省と農業、灌漑技術、食品加工などの分野での協力を希望。張左己省長は、農業、牧畜業、ハイテク、観光分野などでの協力に期待を示した。(6/26黒龍江日報1面)

□今後10年間で、中国の木材需要は2.6〜2.8億立方メートルに達するが、国内受給量はその半分にも満たず、特に工業用材木は6,000万立方メートルになると予測されている。03年、中国の木材輸入量は1,500万立方メートル(原木・加工木材)で、うちロシア産木材が半分以上の800万立方メートルを占めた。黒龍江省の対ロシア森林開発プロジェクトは年々盛んになっており、ロシア極東地区での森林伐採・木材加工に携わる中国企業は6社ある。03年、これら企業がロシアで伐採した木材は13.4万立方メートル、木材加工量は4.7万立方メートルに達した。(6/29黒龍江日報)

 

4.産業

□黒龍江省の石炭価格は03年に過去最高の上昇率を記録したのに続き、04年1〜5月も引き続き上昇している。昨年同期比で比べると、1月4.3%増、2月6.1%増、3月5.8%増、4月6.8%増、5月8.9%増となった。今年下半期は電力需要の伸びが予想されており、黒龍江の石炭価格上昇は今後も続くと見られる。(6/8黒龍江日報)

 

5.国有企業

□チチハル市は今後2年間で市管轄国有企業の財産権制度改革を行う。04年、同市管轄国有企業のうち特に再建困難と見られる69社(資産負債率150%以上の企業)を国に政策的破産申請する予定。(6/7黒龍江日報1面)

□世界の注目を集めた米国AB(Anheuser-BuschLimited)と南アフリカSABMillerPLCのハルビンビール集団有限公司(市管轄国有企業)株式取得合戦は4日、米国ABが10億元でハルビンビールの全国有資本を購入することで決着。国有資本の価値を落とさずに資本売却した点で、国有資本退出の成功例と言える。96年にハルビンビールと香港新中港集団が合弁した時点での国有資産純価値は1.2億元だった。(6/11黒龍江日報1面)

□南京六合炭鉱機械有限責任公司が2062.2万元で、鶏西鉱業集団有限責任公司所属の東山石炭業有限責任公司の株式30%を取得。これにより、東山石炭業有限責任公司の株式は国有40%、民間企業30%、社員保有30%となり、財産権(資本構成)の多元化が実現した。(6/19黒龍江日報)

□経営不振のハルビン市の国有企業・秋林デパートは6月初旬、温州の民間企業に株式譲渡。温州人がトップを務める黒龍江奔馬実業集団有限公司が最大株主となり、半世紀にわたる国有企業の歴史を閉じた。今後、8,000万元を投入して改修工事を実施。リニューアル後のテナントの80%は温州人が占め、600以上の浙江ブランドの商品が並ぶという。(6/16、28黒龍江日報)

□七台鉱業精煤(集団)有限責任公司が3年連続で黒字となり、石炭年産量は6年連続で1,000万トンを突破。黒龍江省の4大国有重点炭鉱の中で最初に黒字転換に成功した企業になっている。今年1〜5月の労働者平均月収はプラス163元となり、今年の平均年収は21.6%増の1万1,000元に達する見込み。(6/29黒龍江日報)

 

6.農業・農村・農民

□国務院の指示に従い、03年5月より実施中の「新型農村合作医療制度」の省内試行5県の実施状況は、この1年に入院した農民6,919人に対して、492万元を給付。医療費補助は1人当たり711元。試行5県には190万人の農業人口がおり、このうち56.4%にあたる107万人が新型農村合作医療に加入した。昨年9月末時点で3353.33万元の資金が集まった。(6/4黒龍江日報1面)

□農業部がこのほど、食糧主生産地区で国家優良食品産業プロジェクトを実施すると発表。国の投資により、食糧主生産地の食糧総合生産能力向上をはかる。国家計画第一期プロジェクトのうち、黒龍江省での実施項目は78(県46と農場32)あり、全体の16.1%を占める。第一期プロジェクトは04〜07年で、総投資額313億元、標準良田を5,000万ムー(1ムーは666.7平方メートル)創設する。第二期プロジェクトは08〜2010年。(6/4黒龍江日報1面)

□黒龍江省は国の農業税免税試行地点に指定されたことを受けて、省内の双城、蘭西、訥河、富錦の4県を先行モデル地点に指定して、試行段階で生じる各種問題への対応策を探ることにした。同時に、張左己省長をトップとする「指導グループ」を設立。「農業税免税モデル県に関する実施案」を制定した。(6/7黒龍江日報1面)

□香港華潤集団と黒龍江省阿城市政府は16日、総投資額11.8億元、年間加工量30万トンのトウモロコシ加工プロジェクトに調印した。(6/17黒龍江日報1面)

□黒龍江省は22日、上海市と「食糧生産販売の長期協力強化に関する合意書」に調印。また、上海良友集団と黒龍江省農墾総局牡丹江分局・黒龍江省穀類備蓄公司がそれぞれ3万トンの水稲購入契約書に調印するなど、両都市の関係機関と企業が穀類購入契約を結んだ。(6/23吉林日報1面)

□省政府は20日、「黒龍江省農民工給与保障規定(草案)」の立法化に向けた公聴会を開催。全省各地の農民工15名が発言した。農業大省の黒龍江省には農村余剰労働力が460万人おり、03年計画では、350万人の余剰労働力を移転させ、100万元の収入につなげたいとしている。全省人口の10人に1人が農民工という状態で、農民工の給与保障問題は農村余剰労働力移転や社会の安定に直接影響する重要問題になっている。(6/21黒龍江日報1面)

03年、黒龍江省では42の土地整理プロジェクトを実施し、11万ムー(1ムー=666.7平方メートル)の耕地を回復した。黒龍江省の基本農田面積は常に1.5億ムー以上、保護率は86.5%に達している。また、黒龍江省は中国最大の商品食糧生産基地で、耕地面積17億ムーは全国一位。(6/27黒龍江日報1面)

 

7.労働・社会保障

□省労働・社会保障庁によると、省が準備した小口融資担保基金額は5月末までで1.69億元で、計1万18人のレイオフ者に対して総額1.77億元を融資したという。省内のレイオフ者は現在112.1万人いる。小口担保融資はレイオフ者・失業者が再就職や起業しようとする際の資金不足を解決するもので、地元の融資担保機関が担保保証し、商業銀行などから融資を受ける一種の低利融資である。(6/10黒龍江日報1面)

 

8.環境

□黒龍江省には現在、大中小648カ所のダムがあるが、ほとんどが「大躍進」、「文革」時期に建設されたもので、洪水などに対する防災能力が低く、省水利庁でも頭を痛めている。省水利庁はここ数年、9.92億元を投じて改修工事に乗り出したが、財力不足により、未だ大型4、中型28、小型480のダムが問題を抱えたままである。(6/1黒龍江日報1面)

 

9.日本関連

■王利民副省長は8日、関西経済連合会・国際委員会の井植基温委員長(三洋電機相談役)を団長とする代表団と会見した。(6/9黒龍江日報)

■張左己省長は14日、山形県東方水上シルクロード貿易促進協議会の新田嘉一氏を団長とする山形県代表団と会見した。(6/15黒龍江日報1面)

■張左己省長は中田慶雄理事長を団長とする日本国際貿易促進協会代表団と会見した。(6/15黒龍江日報1面)

■劉海生副省長は16日、東京経友会事業協同組合の宗村秀夫氏一行と会見した。(6/17黒龍江日報)

 

10.その他

□東北振興推進、中央の人材政策推進の一環として、「院士専門家東北行」のメンバーが黒龍江省を訪問。(6/11黒龍江日報1面)

□香港・マカオ経済界による東北振興視察団が11〜13日、黒龍江省を視察。滞在期間中、ハルビン漢方薬二廠、完達山ハルビン乳製品有限公司、ハルビン発電所、ハルビン航空宇宙工業(集団)有限公司などを視察し、黒龍江省の製薬業、乳業、機械製造業、観光業分野の優位性を現地視察した。(6/11、12黒龍江日報)