遼寧省経済月報(2003年10月)
1.概況
□新華社「新華視点」が東北旧工業基地振興で聞世震・遼寧省書記を取材。Q:中央の東北旧工業基地振興戦略の意義は?A:いくらかゆとりのある社会の全面的な建設という全局に着眼して、第16回党大会が行った重要な戦略である。沿海経済特区の建設、浦東新区の開発、西部大開発戦略の実施に次ぐ、地域経済のバランスのとれた発展のための重大戦略である。社会主義近代化建設の加速に新たな原動力を提供する。東北振興の条件は備わり、機は熟した。Q:東北振興に関する様々な見方(中央政府が政策・資金面の支援をすれば現実問題はすぐに解決できるとする見方、大々的にやって東北の現状をただちに一新しなければならないとする見方、多くの困難を抱えている東北にとって一気に解決することは不可能とする見方)があるが、これらの見方・問題にどう対処すべきか?A:中国共産党中央委員会政治局会議は、「東北等旧工業基地振興の長期性・困難性を十分に認識し、刻苦奮闘精神を大いに発揚し、統一して計画案配し、長期的な展望に立ち、力相応に物事を行い、段階を踏んで実施する」必要があると指摘しているが、的を射ており、遼寧の実情にあっている。長期的な取り組みが必要との心構えがなければならない。Q:東北の直面している困難・障害は?A:遼寧の発展を制約している深層レベルの矛盾は根本的な解決をみていない。構造的矛盾は依然として際立っている。資源型都市と資源枯渇鉱山産業の転換は難度が非常に高く、国有企業の歴史的負担は重い。社会保障圧力も依然として非常に大きく、就業矛盾は際立っており、都市農村間・地区間の発展格差が比較的大きい。Q:東北振興の新措置は?A:国の旧工業基地振興支援方針・政策を十分に利用し、新たな工業化の道を堅持し、構造調整を主なてがかりに、優勢中核企業に重点をおき、改革の深化・開放の拡大・科学技術の進歩を原動力に、経済全体の質・競争力を引き上げる。「第十次五カ年計画期」と「第十一次五カ年計画期」の努力を経て、2010年に旧工業基地振興の任務を基本的に達成、工業化を基本的に実現し、遼寧を高水準の設備製造業基地と重要原材料工業基地にする。遼寧旧工業基地振興の重点・難点・希望はいずれも工業にある。改革によって構造調整・技術革新を推進、工業強省を堅持、新たな工業化の道を歩み、支柱産業と優勢産業を育成する。資源型都市の経済転換を旧工業基地振興、区域のバランスのとれた発展の重要な任務として推進する。区域経済の分布を優れたものにし、瀋陽経済区の建設を加速、臨港経済と県域経済を発展、西北部の開発を加速する。(10/13遼寧日報)
□遼寧省、1-9月のGDPは3771.9億元(+10.6%)、伸び率は前年同期を1.1ポイント上回る。第一、第二、第三次産業の付加価値額はそれぞれ233.8億元(+6.4%)、1920.2億元(+11%)、1617.9億元(+10.8%)で、GDPに占める比重はそれぞれ6.2%、50.9%、42.9%。固定資産投資は1263.8億元(+29.4%)、都市部と農村はそれぞれ1024.5億元(+27.6%)と239.3億元(+37.9%)。社会消費財小売総額は1691.1億元(+11.9%)、都市と農村はそれぞれ1433.1億元(+12.8%)と258億元(+7.2%)。消費者物価指数は1.5%上昇、都市と農村はそれぞれ1.1%と2.9%上昇。都市部住民一人当たり可処分所得は5424.7元(+12.3%)。(10/28遼寧日報)
□国家発展・改革委員会は、2003年第1期東北旧工業基地改造国債案件計画に関する通知で、東北三省の工業固定資産投資案件100件(総額約610億元)を承認。遼寧省は52件(設備製造業21件、原材料工業26件、農産物加工業5件)で、投資額は全体の72.5%に当たる442.1億元。(10/28遼寧日報)
□瀋陽市、「東北振興、瀋陽先行」を打ち出し、今後7年で、@5大産業(自動車・設備製造・電子情報・医薬化学工業・食品飲料)を強化、A「4位一体」の都市建設(生態環境モデル都市、安全文明都市、文化観光都市、デジタル化都市)を推進、B地域的な商業貿易センター、金融センター、情報センターを形成するのが目標。(10/30瀋陽日報)
2.財政・金融
□遼寧省、1-9月の地方財政一般予算収入は310.5億元(+16.3%)、支出は491億元(+12.9%)。金融機関預金残高は年初比1135.2億元増の8722.4億元。(10/28遼寧日報)
3.対外経済
□遼寧省政府・大韓民国在中国大使館・在瀋陽総領事館共催の「2003遼寧・韓国合作秋会」が開幕。金夏中大使は、昨年の韓国と遼寧省の貿易額は30億ドル、韓国の遼寧における投資額は6.2億ドル、韓国は遼寧にとって第2の貿易国、第3の投資国。東北振興は韓国の東北との交流協力促進戦略と期せず一致している旨挨拶。(10/21遼寧日報)
□遼寧省、1-9月の外資利用は実行ベースで32.26億ドル(+40.18%)と過去最高を記録。韓国が前年同期の4位から2位、オランダ、オーストラリアがそれぞれ前年同期の10位、18位から5位、6位に。第三次産業は10.23億ドル(+47.2%)と顕著な伸び、外資利用総額(実行ベース)の31.7%を占めた。業種別では不動産開発が60.62%増、電子通信設備製造業が486.35%増。外資独資企業の払込額は16.77億ドル(+76.29%)、全体に占める比重は前年の41.33%から51.98%に上昇。(10/24遼寧日報)
□遼寧省、1-9月の輸出入額は186.3億ドル(+20.1%)。うち輸出は100.1億ドル(+16.3%)、輸入は86.2億ドル(+24.9%)。(10/28遼寧日報)
4.産業
□遼寧省、工業生産は高い伸びを持続、利潤総額は大幅増、赤字額は減少。1-9月の国有・国有持株および年商500万元以上の非国有企業の工業生産額は4340.2億元(+20.9%)。売上高は4323.8億元(+24.3%)。利潤額は前年同期比67.8億元増の170.5億元。赤字額は同比11.5%減の52.7億元。(10/28遼寧日報)
5.国有企業
□中国政府が旧工業基地戦略を打ち出してから、東北三省で国有企業改革が新たな高まりをみせている。国有企業の一般競争分野からの退出が重点に。瀋陽市は国有資産管理体制改革を加速、国有株の譲渡を数回に分けて推進へ。目下、すでに上場企業9社の国有株を外来資本への譲渡リストに列挙。(10/10遼寧経済日報)
6.農業・農村・農民
□遼寧省、1-9月の農林牧畜漁業生産額は592.5億元(+6.5%)。農村住民一人当たり現金収入は2387.7元(+6.9%)。(10/28遼寧日報)
7.労働・社会保障
□9月末時点で、全国の国有企業レイオフ労働者は前年末比100万人減の310万人。目下、北京、天津、遼寧、上海、浙江、福建、広東の7省(市)が再就職サービスセンターを廃止。(10/30遼寧日報)
□遼寧省、目下、都市部従業員医療保険のカバー率は77.3%、加入者総数は665.7万人、公務員の加入率は97%以上。14市はすべてパート労働者等のフレキシブル就業者の加入弁法を策定、加入者は30万人に達した。(10/31遼寧日報)
8.環境
□瀋陽市、6月で緑化率35%、一人当たり公共緑地8平米、国家園林都市の基準に達した。清朝から300年余、同市の緑地総面積は45平方キロにすぎなかったが、ここ3年の緑地新設面積だけで45.7平方キロ。また、煙突1000本の撤去計画にも取り組み、大気優良日数は80%以上に達した。(10/3瀋陽日報)
9.日本関連
□魯マ・遼寧副省長が中日産業協力交流国際シンポ出席、同省投資環境視察のために訪瀋した山本一元・旭化成前社長、経団連環境安全委員会委員長と会見。(10/14遼寧日報)
□遼寧省・神奈川県友好関係締結20周年記念大会が挙行。(10/17遼寧日報)
□@聞世震・遼寧書記が日中東北開発協会代表団一行と会見。A薄煕来・遼寧省長が吉野内直光副知事を団長とする愛媛県経済交流代表団一行と会見。工業、農業、ハイテク・科学技術、観光等における協力強化を希望する旨述べた。(10/18遼寧日報)
□9/30-10/8、遼寧省観光業界が日本で販促。(10/21遼寧日報)
□張行湘・瀋陽書記が日本新聞協会訪中団のインタビューに応じ、瀋陽市の旧工業基地振興戦略を紹介、国有企業改革等の質問に答えた。(10/22瀋陽日報)
□薄煕来・遼寧省長が日本マスコミ訪中団の取材に対して、設備製造業、鉄鋼、冶金、石油化学工業、電子情報製品等で日本と連携し、日本の工業界が東北旧工業基地振興の案件に積極的に関与することを希望する旨述べた。(10/26遼寧日報)
□聞世震・遼寧書記率いる同省経済貿易代表団が26日より米日訪問へ。(10/27遼寧日報)
□薄煕来・遼寧省長が古川康・佐川県知事一行と会見。観光・スポーツ・教育等における遼寧省と佐賀県の交流強化を希望する旨述べた。(10/31遼寧日報)
10.その他
□6日、中国北方最高建築−東北世貿広場の起工式が瀋陽金融商貿開発区で挙行。敷地面積約3万平米、高さ300m、投資総額22億元、4年後の完成予定。(10/7瀋陽日報)
□12日、秦皇島−瀋陽の旅客輸送鉄道が開通へ。(10/10遼寧日報)
□27日、瀋陽−シンガポール便が開通へ(月・金、アモイ経由)。来年は北米、東南アジア、欧州線の開通を目指す。(10/16瀋陽日報)
□曽慶紅副主席が遼寧(21-24日)視察。(10/27遼寧日報)