遼寧省経済月報(2003年5月)
 
1.概況
□遼寧省、1-4月のGDPは1520億元(+12%)。国有・国有持株および年商500万元以上の非国有企業の工業付加価値額は496.1億元(+19.5%)。固定資産投資は195.6億元(+39.2%)。社会消費財小売総額は747.5億元(+11.8%)。輸出総額は39.4億ドル(+25%)。外資直接投資は実行ベースで7.4億ドル(+72.9%)。(5/13遼寧日報)
 
2.財政・金融
□遼寧省、2001年からの銀行不良債権削減は70億元、各種金融債務処理は161億元(うち個人債務返済133億元)、金融機関不良債権比率は7.9ポイント低下。(5/29遼寧日報)
 
3.対外経済
□遼寧省、1-4月の電気機械製品の輸出額は16.85億ドル(+37.1%)、伸び率は同省輸出を約10ポイント上回り、同省輸出額の41.2%を占める。うち国有企業の輸出は3.55億ドル(+161%)。大連造船重工と大連新造船重工の船舶輸出で国有企業の輸出は高い伸び。民営企業の輸出は0.69億ドル(+155.6%)。加工貿易の輸出は13.62億ドル(+40.7%)で、電気機械製品輸出総額の80.8%を占める。電気機械製品のアジア、EU、アメリカ輸出は昨年の低迷から大幅増に転じた。日本、EU、アメリカは同省の3大貿易パートナー。対フランス、メキシコ輸出はいずれも50%以上の伸び。対韓国、ドイツ、フィンランド輸出の伸びは100%を超えた。(5/20遼寧日報)
 
4.産業
遼寧省、工業利潤の半分以上は石油化学工業による。第1四半期の石油化学工業の利潤額は26.48億元で、同省工業の56.9%を占めた。(5/18遼寧日報)
 
5.国有企業
遼寧省、国有食糧企業従業員は2001年の16.4万人から2002年の4.2万人に削減、削減された12.2万人のうち11.1万人が企業との労働関係を解除。(5/3遼寧日報)
 
6.農業・農村・農民
□遼寧省、毎年200の貧困村、10年で2300余の貧困村をすべて貧困から脱却させる方針。同省は2002年に「百村貧困扶助プロジェクト」を実施、2.2億元を投じて408の重点貧困村に対して開発式貧困扶助を行ったが、206の貧困村で農民一人あたり純収入は400元増、80%の農民一人あたり純収入は1200元に達し、貧困から脱却。(5/22遼寧日報)
□遼寧省、農村税費改革は農民の負担軽減のみでなく、関連改革も重要。2002年末時点で村級不良債務は106億元、村の平均負債額は69億元であるが、5年以内の問題解決を目指す。目下、農村中小学校教職員は17.9万人であるが、2万人余の削減予定。村の小学校は1万校であるが、規模が小さすぎる2880校を統合予定。20%-25%の行政村を合併、村級人口を2000人以上に調整する予定。郷鎮事業単位の人員削減は約1万人の予定(25%の削減率)。(5/27遼寧日報)
 
7.労働・社会保障
□瀋陽市、1-4月に35120の再就職ポストを開拓、のべ43236人が再就職。目下、深?・上海等で15の労務輸出基地を設立、日本・韓国等9つの国・地域と長期的労務協力関係を形成、5万人余の農村労務輸出、1万人余の非農業人口の他都市への労務輸出、6000人余の海外労務輸出を実現。112の家政サービス組織を新設(目下、計974)、失業者・レイオフ労働者5.6万人が再就職(就業総数の33%)。(5/24遼寧日報)
 
8.環境
□遼寧省、水不足が深刻。一人あたり水資源は860立方メートルで、全国の3分の1。とりわけ中部地域は都市と工業が集中、GDPは同省の70%以上を占めるが、水資源は同省の40%足らず。瀋陽の一人あたり水資源は全国の5分の1。大連は8分の1。地表水を供給源とするのは大連、鞍山、本渓、営口、丹東の5都市。地表水と地下水を供給源とするのは瀋陽、鞍山、錦州、遼陽、鉄嶺、朝陽、盤錦の7都市。目下、地表水を主な水源とする葫芦島(1日あたり10万トン必要であるが、5万トンの水不足)と阜新(1日あたり20万トン必要であるが、2万トンの水不足)の2都市は最も深刻。同省は、水価格の調整、海水利用、水道管の技術革新等10項目の節水対策を打ち出した。(5/15遼寧日報)
 
9.日本関連
遼寧省、第1四半期の対日輸出は前年同期比18.2%増。同省における日本の投資は契約ベースで同比227.5%増。(5/5遼寧日報)
 
10.その他
□遼寧省、石炭採掘地盤沈下対策の今年中の全面的な始動、2-3年以内の問題解決を目指す。同省には阜新、本渓、撫順、北票、南票等7つの鉱区があるが、いずれも程度の差はあるにせよ地盤沈下問題を抱えている。推定によると同省の石炭採掘地盤沈下総面積は335.8平方キロ、被災住民は10.9万世帯、32.8万人で、うち深刻なのは住宅5.3万棟、13万人。阜新の総合対策はすでに2002年に全面的に始動、当年に被災住民5360世帯が移転。北票も今年9月に建設開始。本渓、撫順等は年内の工事開始予定。資金難が最大の問題。とりわけ本渓、阜新、朝陽等は財政難。(5/23遼寧日報)
□遼寧省、西北地域には錦州、阜新、鉄嶺、朝陽、葫芦島の5都市と瀋陽市の康平、法庫の2県があるが、人口は同省の35.8%を占め、GDPは同省の15.1%、一人あたりGDPは同省平均の42.9%、中国の西部地域の平均水準に当たる。同地域の経済振興は同省の経済発展にとって非常に重要であり、4つの「結びつき」に力を入れていく必要がある。@金銭・物資の支援と知恵・人材・教育・科学技術の支援との結びつき。A同地域の経済発展と経済構造調整(栽培業・製品販売・産業・人口分布・財政支援構造・指導者体制の調整)の結びつき。B支援と省直属部門の改革との結びつき。C長期計画と目下の具体策の結びつき。(5/25遼寧日報)