吉林省・黒龍江省の経済月報(2005年9月)

 

1、全体動向 

(1)長春で「第一回東北アジア投資貿易博覧会」開催 吉林省

2〜6日、長春市で「第一回東北アジア投資貿易博覧会」を開催。博覧会には内外の企業や自治体などが約1,900ブースを出した。日本からはトヨタ自動車、住友商事、丸紅、伊藤忠商事などの企業が参加。宮城、北海道、新潟など自治体もブースを出した。また、北朝鮮が140人規模の代表団を派遣したことでも注目を集めた。会期中にはUNDP図們(豆満)江地域協力開発プロジェクトに関する政府間協議も開催され、プロジェクトの10年間延長、対象地域を拡大する、関係各国が資金拠出をして同地域の開発を促進することなどを盛り込んだ「大図們(豆満)江行動計画」が調印された。(9/3〜7吉林日報など)

 

(2)東北のレイオフ者360万人減 失業保険制度への移行進む 吉林省・黒龍江省

 東北3省での社会保障制度改革の柱の一つである、国有企業が抱えるレイオフ者を基本生活保障制度から失業保険制度へ移行する作業が進展している。01年から全国に先駆けて3年間の試行を実施した遼寧省では、04年末までに178万8,000人のレイオフ者を失業保険制度へ移行完了。04年から試行開始した吉林省、黒龍江省では、05年6月末までに、それぞれ61万6,000人、124万3,000人を企業から切り離しており、東北3省では合計360万人余りを失業保険制度に移行したことになる。(9/13新華社長春電)

 

2、対外経済 

(1)露国境の「東寧・ポルタフカ互市貿易区」 第一期工事完了 黒龍江省

露国境の黒龍江省東寧で建設中だった「東寧・ポルタフカ互市貿易区」の第一期工事がこのほど完成し、中露貿易市場の試験営業が始まった。正式開業は10月18日の予定。同貿易区は両国政府が認可する国境自由貿易区で、商品市場のほか、ロシア向け製品の工業園区なども建設する。同区内にはロシア人がノービザで入場でき、免税措置(規定量まで)がある。また、浙江企業が投資する「浙江工業園区」の起工式も行われた。(9/17黒龍江経済報)

 

(2)黒龍江1〜8月輸出 伸び率で全国トップ 黒龍江省

 黒龍江省商務庁によると、同省の今年1〜8月の貿易額は60億2,500万米ドルに上り、昨年同期比42.5%増で全国平均を19ポイント上回った。特に輸出は78%増の38億2,200万米ドルで、全国で最も高い伸びを記録した。輸入は5.9%増の22億200万米ドル。

同省の貿易は今年3月以後、毎月伸び幅を拡大しており、8月は単月で83.8%増の10億4,200万米ドルをマークし、初めて10億米ドル大台を超えた。高成長を牽引するのは対露貿易で、1〜8月の累計は53%増の35億3,700万米ドルに上り、同省貿易額の58.7%、中国の対露貿易の19.9%を占めた。一方の対露輸出は24億1,300万米ドルで、110.3%増の大幅な伸び。(9/15黒龍江日報)

 

3、産業 

(1)吉林の工業生産 8月は持ち直す 吉林省

吉林省の05年8月の工業生産(付加価値ベース、一定規模以上の企業が対象)は99億1,000万元となり、昨年同月比8.9%増加した。伸び率は全国平均(16%増)を大きく下回るが、前月比3.1ポイント上昇。工業生産の伸びが回復した背景には、一汽大衆(第一汽車集団と独フォルクスワーゲンの合弁)の生産量増加がある。なお、8月の外資企業の工業生産は37.6%増で、吉林工業全体の伸びを牽引している。(9/27吉林日報)

 

(2)吉林の固定資産投資 1〜8月は45%増 吉林省

今年1〜8月の吉林省の都市部・固定資産投資は856億5,900万元で、昨年同期比で44.9%増加した。1〜7月に比べて3.4ポイントアップし、伸び率では全国4位だった。分野別では、自動車、石油化学、農産物加工、医薬品、電力など重点事業の投資額は322億7,400万元で、昨年同期比51.8%の伸び。(9/25吉林日報)

 

4、国有企業 

(1)国有企業改革が進展 吉林省

 吉林省の国有企業改革担当部門によると、8月までに全省の国有工業企業625社のうち、72社の基本的体制改革が終了。これにより、国有企業労働者登録数は4万8,548人、退職手続き完了者6,356人、早期退職者(退職規定年齢より5年以内)516人、労働契約転換者2万8,264人、労働契約未転換者1万3,412人となった。また、省管轄国有企業の社会機能(学校や司法部門など)切り離し作業も進んでおり、残り19社が抱える472の関連機関の切り離し作業に今後着手し、年内に完了する目標。長春では国有企業改革の対象とされた138社のうち、90%以上にあたる135社で基本的な体制改革作業を完了した。(9/11、16、28吉林日報)

 

(2) 黒龍江省

 27日開催された国有企業改革表彰奨励式によると、今年の改革重点目標にあげられた国有企業106社のうち、すでに体制改革を完了したのは15社、現在進展中なのが47社だった。また、全省で130社を全国企業閉鎖・破産四年計画に組み込んだ(全国の6%を占める)。さらに、中国工商銀行系列の不良債権処理に重点を置き、4大炭鉱や鉄鋼の不良債権48.1億元を処理した。社会保障改革では、150万人のレイオフ者を失業保険制度に移行(上半期目標は82万人)したほか、省管轄国有企業が抱える小中学校107校を社会に移行した。(9/28黒龍江日報)

 

5、農業・農村・農民 

(1)05年の穀類生産、過去最高の豊作 吉林省

 吉林省農業委員会によると、05年の穀類生産量は2,600万トンに達し、史上最高の豊作になる見通し。穀類のうち、同省の特産品であるトウモロコシは、昨年より90万トン多い1,900万トンに達する見通しという。今年は西部地区で降水量が多かったこと、昨年より4万8,000トン多い72万6,000トンの化学肥料を使用するなど、農業関連の資材投資を大幅に増やしたことも功を奏したとしている。(9/25吉林日報)

 

6、労働・社会保障 

※1、全体動向参照

 

7、環境 

・特になし

 

8、その他 

(1)吉林の鉄道整備を加速 460億元を投資 吉林省

 吉林省政府と鉄道部は18日、同省の鉄道建設を促進することについて合意した。双方は第11次5ヵ年計画(2006〜2010年)で、合弁・合作などの方式で460億元を共同出資して、吉林省の鉄道整備を進める。第11次5ヵ年計画で改造・新設が予定される吉林省の鉄道は、ハルビン−大連の旅客専用線、中露・中朝国境を走る東北東部鉄道など16案件。建設に際しては、吉林省が用地確保を、鉄道部が工事をそれぞれ主担当し、完成後は一部を株式会社化して共同経営する計画。(9/19吉林日報)

 

(2)長白山空港の建設を認可 06年6月着工 吉林省

 吉林省の北朝鮮国境に位置する観光地・長白山地区で進められていた空港建設計画に中央政府の正式認可が下りた。06年6月に着工し、2009年開港を目指す。投資総額は約3億1,000万元。観光誘致と同省東部の振興につながると期待されている。建設予定地は長白山・西山門から18キロメートル離れた白山市撫松県松江河鎮。(9/14吉林日報)

 

(3)宮越商事 長春ハイテク開発区に1.2億米ドル投資 吉林省

 5日、長春ハイテク開発区と日本の宮越商事株式会社は、日本医薬工業園プロジェクト建設の契約締結式を行った。10月に工事着工し、1.2億元を投資して医薬品製造やバイオ製品関連産業企業を誘致する。(9/7吉林日報)

 

以上