吉林省・黒龍江省の経済月報(2005年11月)
1、全体動向
(1)吉林石化で爆発事故、汚染物質が松花江に流入し流域で被害 吉林省・黒龍江省
13日、吉林市にある中国石油天然ガス吉林石化分公司の化学工場で爆発事故が発生。この事故により、工場からベンゼンやニトロベンゼンが付近を流れる松花江に流れ込み、ハルビンや露ハバロフスクなど流域地域にも深刻な影響を及ぼした。松花江から生活用水を取水するハルビン市では、4日半にわたる断水措置をとった。(10/13〜新華網吉林電など報道多数)
(2)吉林省1〜10月の固定資産投資、伸び率で全国第2位 吉林省
吉林省の今年1〜10月の都市部固定資産投資額は、昨年同期比45.8%増の1,251億2,400万元にのぼり、全国第2位の高い伸びとなった。全国第1位は遼寧省。(11/26中国広播網)
(3)黒龍江省の龍煤集団傘下の炭坑で大規模爆発事故 黒龍江省
27日夜、黒龍江省の石炭会社「龍煤集団」の七台河支社傘下の東風炭坑で大型爆発事故があり、29日時点で死者138人、行方不明11人、自力脱出者72人を確認。12月1日には死者数は162人にのぼった。事態を重く見た中央政府は事故発生後、国家安全生産監督管理総局の李毅中局長を現地に派遣した。(11/27新華網など)
2、対外経済
(1)通化鉄鋼、北朝鮮の茂山鉱山の開発権を70億元で買収 吉林省
吉林省通化市の鉄鋼メーカー「通化鋼鉄集団」がこのほど、北朝鮮北部の中朝国境付近に位置するアジア有数の鉱山、茂山鉄鋼山の開発権を70億元で獲得する見通しを明らかにした。吉林省企業の対外投資としては過去最大規模。(11/1東亜経貿新聞)
(2)黒河通関ゲートの対露貿易が対昨年比倍増 黒龍江省
ハルビン税関によると、今年10月までに中露国境の黒河通関ゲートを通過した貨物は、金額にして3億3,000万米ドル、昨年同期比119.9%の伸びとなった。うち、対露輸出額は同134%増の2億7,195万米ドル。露からの輸入額は同71.4%増の5,805万米ドル。対露輸出額が輸入額を2億1,390万米ドル上回っている。
また、黒河通関ゲートを通過した出入国者数は、今年10月までで延べ80万4,000人に達し、93年に記録した通年最高記録78万6,000人を上回った。ロシア側からの出入国者が58万1,000人で全体の75%を占める。(11/13、15黒龍江日報)
(3)欧州資本誘致強化のため、ミッション派遣 黒龍江省
黒龍江省は11月30日〜12月2日まで独のフランクフルト、ベルギーのブリュッセルに投資誘致ミッションを派遣。欧州で実施する投資誘致活動としては過去最大規模のものになる見込み。東北振興政策や黒龍江省の潜在力などについてアピールし、欧州での知名度を上げ、来年の第17回ハルビン商談会への欧州企業出展数増加も狙う。(11/28黒龍江日報)
3、産業
(1)大慶油田、天然ガス開発進む 黒龍江省
中国最大の石油生産基地・大慶油田で、将来の原油資源減少を見据えた天然ガス開発が進んでいる。大慶市内から140キロメートルの位置にある肇州県で発見されたガス田(慶深ガス田)は、昨年の調査で埋蔵量が1,000億立方メートルあることが確認されており、タリム盆地などに続く中国第5番目の天然ガス田になった。大慶油田では、第十一次5カ年計画期間中に天然ガスの確認埋蔵量を2,000億立方メートルに伸ばしたいとしている。(11/28新華網)
4、国有企業
・特になし
5、農業・農村・農民
・特になし
6、労働・社会保障
・特になし
7、環境
(1)国家環境保護総局が松花江汚染事故を重大環境汚染事件と認定 吉林省・黒龍江省
国家環境保護総局の張力軍副局長は24日北京で記者会見し、中国石油天然ガス吉林石化分公司の化学工場から松花江に流れ込んだ汚染物質は、推定約100トンのベンゼンとニトロベンゼンであり、重大な環境汚染事件にあたるとの見解を示した。吉林省松原市では松花江の汚染された部分が通過した際に環境基準値の40倍の濃度のニトロベンゼンが検出された。汚染物質は沈殿性で、流域で少しずつ沈殿するため、吉林省と黒龍江省に対しては、松花江の水質汚染が解消した後も流域の生態環境に与える影響について観察を続けるよう求めている。(11/24新華網など)
8、その他
(1) 吉林省の個人預金額、平均1万元を突破 吉林省
吉林省内の金融機関に預けられた個人預金残高が、9月末時点で人民元と外貨を合わせて2,841億7,000万元となり、昨年同期比15.2%増加したことが分かった。一人あたりの個人預金額は1万524元になり、初めて1万元の大台を突破した。(11/12東亜経貿新聞)
以上