T.遼寧省の主な動向(2005年3月)
1.賈慶林・全国政協主席が遼寧省を視察
22日から23日の日程で賈慶林・全国政協主席は遼寧省を視察。
視察中、先日閉幕した第10期全人代第3回会議及び全国政協第10期第3回会議(両会)は我が国の改革発展の重要な時期に開催した重要な会議であり、通過した会議で法律、決議、文書は今年の政府活動の目標と任務を明確にしている。現在の重要な任務の一つに、「両会」の考え方を学び徹底し実行することである。党委各レベル及び政府は必ず「両会」の考え方をしっかりと学び、科学的発展観を実行し、各業務を遂行し、社会主義の物質文明、政治文明、精神文明の建設及び調和のある社会の全面的な発展を推進するよう指摘した。
また、賈慶林・全国政協主席は遼寧省の改革開放及び現代化建設の成果を評価し、東北振興は党中央、国務院の小康社会建設及び現代化建設加速の全体から出てきた戦略の重要な部分を構成していると協調した。
視察には李克強・省党委書記、張文岳・省長が同行。
2.朴鳳柱・朝鮮総理が瀋陽を視察
朴鳳柱(パク・ポンジュ)・朝鮮民主主義共和国総理は、温家宝総理の招きを受けて22〜27日にかけて中国を公式訪問した。うち、25〜27日には瀋陽市を訪問し、瀋陽市及び遼寧省政府関係者と懇談した他、瀋陽机床(集団)有限責任公司瀋陽第一机床廠、遼寧省農科院、瀋陽耀華ガラス有限公司を視察した。
朴総理は瀋陽市主催の25日の歓迎会で、「訪問中、中国の近代化過程の目覚ましい成果を目の当たりにした。瀋陽は中国の重要な工業、農業基地であり、近代化建設で大きく変容した。瀋陽と北朝鮮・平安北道が今後、近隣として協力関係を強化していくと同時に、中朝両国の友好交流や経済貿易協力面においても重要な役割を果たすよう望む」と述べた。
瀋陽机床(集団)有限責任公司瀋陽第一机床廠では、NC工作機械の生産・販売状況、部品調達、核心技術の導入、R&Dなどについて聴取。遼寧省農科院では、トウモロコシ種子の生産ライン、花卉培養育成センター及びガラスの生産ラインを見学した。省農科院は北朝鮮との技術協力推進を提案し、また北朝鮮側に試験用の土地の提供を求めた。朴総理は、北朝鮮は農業を特に重視しており、双方がさらに多くの協力ができることを希望しており北朝鮮内閣も積極的に支持するだろうと述べた。瀋陽耀華ガラス有限公司では、ガラスの生産技術、生産過程、有色ガラスの生産・用途を質問した。
3.中央政府から東北地方政府へ94人の人材を派遣
東北振興を人材面から強化するために、中国共産党中央組織部は3月中旬、中央国家機関や江蘇省・上海など沿海部の省市から選抜した94人(地方政府の庁級、県政府の処級幹部)を東北3省に異動や出向した。市場経済理念や沿海部での業務経験を東北地方に浸透させる狙いがある。
人選にあたっては、東北3省政府が必要とする分野の人材を聴取し、決定したという。94人のうち、33人が遼寧省へ、35人が吉林省へ、26人が黒龍江省へ赴任した。94人の平均年齢は42.8歳で、高学歴者が多い。11人が博士、31人が修士で、経済や企業管理に精通した人材が多く含まれているという。
赴任後のポストは「21世紀経済報道」(05/3/24付)などによると、省長助理1人、政府副秘書長3人、副市長14人、各総合庁・局の副庁(局)長、その他国有企業の指導者などという。うち例えば、大連市副市長に赴任した何建中氏は、交通部海事局書記からの転出で、これは東北振興政策の目玉として進めている「大連北東アジア海運センター」の港湾建設を強化するためのものと思われる。
4.瀋陽市の地下鉄計画準備状況を国家発改委が視察
国家発改委の副主任一行が28日、瀋陽市の地下鉄建設計画の準備状況を視察した。遼寧省・瀋陽市側の報告によると、瀋陽市は国務院が求める地下鉄建設前提条件(都市部人口、GDP、地方財政収入、乗客規模)に合致しており、15年にわたる準備期間を経て、資金調達やプロジェクト管理などもめどがついたとして、早期に国家批准を受けたいと希望した。建設目標は、今後8年間で、地下鉄1号線、2号線の第一期工事(路線距離40.85キロメートル、総投資額171.8億元)に着手し、1号線で瀋陽市の東西(2開発区と市内繁華街)を結び、2号線で渾河南北両岸を結ぶこと。
5.2006中国瀋陽世界園芸博覧会の記者発表会を北京で開催
「2006中国瀋陽世界園芸博覧会」の記者発表会を12日北京で開催した。会期は2006年5月1日から10月31日まで、瀋陽市の棋盤山国際観光エリアで実施する。マスコットはカササギの「陽陽」。
以上
U.遼寧省日誌(政治・経済)
1.日本関連
8日 李佳・副省長は角田博・経団連参事一行と会見。
14日 草の根無償資金援助の締結式が行われる。李佳・副省長、小河内総領事らが出席。
18日 李万才・副省長は足達洋行・キャノン中国有限公司総裁一行と会見。
2.省政策の動き
2月28日 第10期全人代常務委員会第14回会議により、洪虎を第10期全人代法律委員会副主任委員、聞世震を第10期全人代財経委員会副主任委員に任命。
3.中央・地方との往来
22日〜23日 賈慶林・全国政協主席が遼寧省を視察
4.対外関係
7日 李佳・副省長は譚宝昌・シンガポール国際企業開発局中国署長一行と会見。
12日 張文岳・省長は北京にてGE中国地区総裁と会見。
13日 李克強・省党委書記はロバート−マンデル・コロンビア大学教授一行と会見。
23日 魯マ・副省長は世界銀行北京代表処首席らと会見。
23日 魯マ・副省長はグラスゴー大学副校長ら一行と会見。
27日 朴鳳柱(パク・ポンジュ)・朝鮮民主主義共和国総理が遼寧省農科院及び瀋陽耀華ガラス有限公司を訪問。武東和・在中国北朝鮮大使、李佳・副省長、宋g・副市長が同行。
5.省内各会議・イベント
2月28日 張文岳・省長は省政府常務会議を主宰。「両会」の考え方をしっかりと実行し、全力で本年の政府活動を行うよう強調。
1日 李克強・省党委書記は省委常務会議を主宰。省「両会」で確定した目標の任務をしっかり果たすよう強調。
4日 省政府は省安全生産委員会拡大会議を開催。省政府の第41回常務会議における安全生産強化に関する活動の考え方につき伝達。さらに省全体で安全生産活動を進めるよう配置を行った。閻豊・副省長が出席。
4日 中国遼寧ラジオ局及び米ロサンゼルスが二カ国語ラジオ放送を連合で主催するに当たって、中国遼寧ラジオウィークを米ロサンゼルスで開催。
15日 張文岳・省長は省長事務会議を主宰。鉱山ガス管理を重点とした安全生産の検査を行うことを決定した。
16日 郭廷標・省政協主席は第9期第27回主席会議を主宰。省政協常務委員会の05年の主要な業務につき検討。
17日 張文岳・省長は省政府業務会議を主宰。固定資産投資に関する業務につき検討。
17日 省社会総合治理委員会は05年第1回総会を開催。
17日 李克強・省党委書記は省党委常務委員会議を主宰。全国「両会」の考え方を伝達。
18日 張文岳・省長は省政府常務会議を主宰。全国「両会」の考え方をしっかりと実行するよう強調。
24日 顧秀蓮・全国人代常務委員会副委員長は男女平等政策に関する報告を行った。
24日 省政府はIT産業発展促進座談会を開催。張文岳・省長、IT産業の企業家代表、専門家、市政府らが出席。
28日 遼寧省第二回学術年会及び第五回青年年会が開催。李克強・省党委書記、張文岳・省長らが開幕式に出席。
29日 李克強・省人代主任は省第10期人代常務委員会第18回会議を主宰。
30日 省党委はテレビ会議を行い、共産党員の先進性保持のための教育活動の分析及び評価を行った。李克強・省党委書記が講話。
6.分野別報道
(1)対外経済
・「独国際工業パーク」計画が具体化
独国際工業パーク(徳国国際工業園)を瀋陽市郊外(大東区と新城子区が共同で建設)に設置する計画が浮上している。これは昨秋、独シュレーダー首相が東北訪問した際に東北の経済発展に興味を示したこと、旧正月前に瀋陽市政府視察団が訪独した際に、現地で「独国際工業パーク建設発表会」を開催したことなどを受けて話が進んでいるもの。(05/3/30瀋陽日報など)
(2)産業
・04年瀋陽の不動産投資、過去最高の伸び
瀋陽市統計局投資処によると、04年の不動産開発投資額は03年比93.2%増の342.6億元で、伸び幅で過去最高を記録し、瀋陽市固定資産投資額の伸び幅を26.5ポイント上回ることが分かった。不動産開発投資の中で最大なのは、分譲住宅(商品住宅)への投資で、投資額は233.3億元(対03年比78.6%増)。分譲住宅の年間販売面積(住宅完成前の予約販売含む)は616.1万平方メートル(同50.3%増)で、実際販売面積は489万平方メートル(同67.6%増)だった。
この他、工業固定資産投資額は289.1億元で、対03年比87.5%増。民間投資が伸びており、民間資本の年間投資額は591.9億元(同90.3%増)で、うち私営・個人企業による投資が03年の1.5培の52.5億元となった。(05/3/11瀋陽日報)
(3)国有企業
・26日開催された全省国有資産監督管理工作会議で、05年の省管轄国有企業改革の重点取組が確認された。@年末までに国有大型企業の株式制への移行を70%以上達成、A実力ある外資企業や民営企業と国有企業の資本再編を進め、出資多元化を促す、B撫順特鋼など上場5社の資本再編作業と本鋼、東北特鋼などの上場作業、C石油化学、鉄鋼、大規模インフラ、装備製造業、エネルギーなどの業界で知的財産権を持つ国際競争力あるブランドを育てること、D瀋煤集団をM&Aなどを通じて企業再編すること、E本鋼、華錦で本業とそれ以外の事業部門を切り離すこと。(05/3/27遼寧日報)
(4)農業・農村・農民
・04年、遼寧省農村余剰労働力22万人を農民工に転移
04年、遼寧省は国家が推進する「農村労働力転移・研修陽光プロジェクト」を実施し、農村余剰労働力22万人に非農業分野の職業訓練を実施して農民工に転移し、合計12.8億元の収入につなげた。就職先は市場需要の多い飲食業、保健、建築、製造、機械、家政婦などに集中している。同プロジェクトには、@職業知識や基本技能を身につける訓練、A労働法をはじめとする政策法規を身につける訓練がある。(05/3/19遼寧日報)
(5)労働・社会保障
・特になし
(6)環境
・特になし
(7)その他
・05年瀋陽市の主要大型イベントを発表
瀋陽市が05年の主要大型イベントを発表。うち、経済関連イベントは下記のとおり。
日にち |
イベント |
備考 |
5月15〜21日 |
2005中国瀋陽韓国ウイーク |
瀋陽市と瀋陽韓国総領事館が主催、その他遼寧中部6都市が共催。48イベント。 |
5月24〜28日 |
2005中日経済文化交流活動 |
24、25日は日中経済協力会議開催 |
6月2日〜 |
大陸台商瀋陽振興シンポジウム |
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8月13日〜 9月15日 |
瀋陽国際観光フェスティバル |
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8月30日〜 9月3日 |
第4回瀋陽国際装備製造業博覧会 |
瀋陽国際エキジビションセンター |
9月14〜16日 |
中欧経済サミット |
EU指導者、ドイツ企業など出席見込 |
9月16〜19日 |
国際瀋陽農業博覧会 |
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9月20、21日 |
瀋陽・華僑ビジネスマン交流会 |
|
9月21〜24日 |
東北アジアハイテク技術博覧会 |
瀋陽科学宮にて |
・卓球の愛ちゃん、瀋陽観光イメージ大使に
卓球の福原愛ちゃんが31日、瀋陽市観光局から「瀋陽観光イメージ大使」に任命され、瀋陽市での記者会見に出席した。愛ちゃんは、瀋陽市観光局の2代目イメージ大使で、外国人が中国の都市の観光大使を務めるのは国内初という。初代は瀋陽在住の芸能人・趙本山氏。今後、瀋陽市の観光PR用映像やポスターなどで活躍する予定。地元紙報道によると、5月の「日中経済文化交流活動」期間中に任命式が行われる予定。愛ちゃんは、中国卓球スーパーリーグの遼寧チーム(本鋼)と4月1日に契約を結んだ。(05/4/1瀋陽日報など)