※新聞報道(遼寧日報、瀋陽日報、遼瀋晩報等)を参考に当館で作成。

 

T.遼寧省の主な動向(2003年6月)

1.温家宝総理の遼寧省視察

531日〜63日、温家宝総理が鞍山市、本渓市、撫順市、瀋陽市を訪問。大型国有企業(鞍山鉄鋼、本渓鉄鋼、撫順石化、撫順鉱務局、瀋陽黎明航空発動機集団、瀋陽飛行機製造公司、瀋陽机床(旋盤)集団)、NEU東軟集団の他、炭鉱地盤沈下地区(本渓市、撫順市)及び遼寧省疾病予防コントロールセンターを視察。

 温家宝総理は、今回の遼寧視察の主要な目的は老工業地区の調整と改造であり、このような炭鉱地区の地盤沈下の現状は必ず解決しなければならないと述べ、「四つの軍令」を指示した。第一に、2ヶ月以内に地盤沈下地域の整備案を完成させること。次に、国務院の批准を経て、遼寧省はすぐに具体的細則と責任者を確定し、期限内に完成すること。また、工程は安全、効率、公正、透明を原則として市民の理解と支持を得ること。中央及び省政府は一般市民を益し、党と政府の市民への配慮を体現すること。

 温家宝総理の遼寧省訪問は、今年の旧暦大晦日(1月31日夜)の阜新市訪問に続き2度目。

 

2.瀋陽市中級人民法院で楊斌の公開裁判実施

14日付当地紙は13日付新華社瀋陽電をキャリーして、楊斌の裁判が行われた旨報道。同報道によれば、瀋陽市中級人民法院はオランダ籍華人楊斌及び関連企業を被告とし11日〜13日の3日間、公開裁判を実施。同被告は虚偽出資、非合法な農用地占有、契約詐欺、企業収賄罪、企業に対する収賄罪、金融証書偽造罪等の容疑で告訴された。一審判決は後日宣告。

なお、同記事は楊斌に関して瀋陽欧亜実業有限公司、瀋陽欧亜農業発展有限公司董事長兼法廷代表人とのみ記述し、元北朝鮮新義州特区長官との記述はない。

 

3.2007年の遼寧省GDP目標が1兆人民元に引き上げ

25日〜26日、薄煕来省長は、瀋陽市の重点企業技術改造と重大プロジェクト進展状況、故宮修繕工事状況、瀋陽農業高新区を視察。劉克田副省長、衛平副省長、張行湘瀋陽市書記、陳政高瀋陽市長が同行。

薄煕来省長は講話で、2007年の全省GDP目標をこれまでの8400億人民元(年平均9%成長)から1兆人民元(年平均13%成長)に引き上げる旨述べ、瀋陽市、大連市は各々少なくともその内の2500億人民元につき責任を持たなければならない旨講話。

視察先企業は以下のとおり。瀋陽鼓風機(送風機)集団、ミチリン瀋陽タイヤ、瀋陽金徳铝塑(アルミ・プラスチック)複合管有限公司、瀋陽華潤三洋圧縮機有限公司、東軟数字化(デジタル化)医療設備公司、瀋陽双鼎製薬有限公司。

故宮では、瀋陽市の故宮、北及び東の世界文化遺産登録申請を着実に進めるよう指示。

 


U.遼寧省日誌

1.日本関連

(1)日系企業

17日 ベルネットが瀋陽市に進出。瀋陽市南新区に工場を建設、総投資額は約1.2億ドルの予定。

 

2.省政策の動き

3日 薄煕来省長は、温家宝総理の重要講話の精神学習、実行をテーマとした常務会議で@炭鉱地盤沈下地区の整備A東北老工業地域振興の各種政策深化と新構想の研究B企業閉鎖・破産問題、重大技術改造プロジェクト等への迅速な対応CSARS予防・治療製品の研究開発強化等を指示。

4日 省検察院は今後半年間“法律監督強化、公平正義維持”教育活動を展開。検察院の質向上、法執行レベルの向上、反腐敗等意識改革が目的。

5日 瀋陽市内で長期に渡り放置されていた国有地48カ所41万平米につき市規画国土資源局は有効利用を積極的に奨励。これまで三好街等17カ所10余万平米が着工、23カ所24万平米が計画申請、5カ所4万余平米が緑地等に臨時利用。

12日 省委は中央発行≪“三つの代表”重要思想学習綱要≫の学習に関する通知を発出。

19日 遼寧日報は盤錦市政府が6月初以降被災農民2.46万人に対し一日一人当たり500gを基準として既に110万kgの米を放出と報道。同地区は昨年の自然災害で68万(約4.6ヘクタール)の農地が被災、7万が収穫ゼロ。

27日 省委は中央が発した≪“三つの代表”重要思想学習貫徹の新高潮に関する通知≫の貫徹に関する実施意見を発出。

 

3.省幹部の省内視察

(1)聞世震省書記

12日〜13日 本渓市満族自治県、桓仁満族自治県を訪問。県地域経済発展につき、民営経済を主とし、工業化、産業化、都市化により発展するとの方針を堅持すべき旨講話。

18日 瀋陽市南郊の家屯副城新区にある中順自動車工業園を訪問。テープカット式及び定礎式に参加。

19日〜20日 営口市を訪問。盼盼工業園区、営口造船工場、営口漁船工場、営口市冶金工業園区等を視察。海洋資源開発、電力、石油化学、冶金、修理・造船工業を発展すべき旨講話。

(2)薄煕来省長

 4日 瀋陽市内の大学入試会場を訪問。SARS対策等試験実施の準備状況を視察。陳政高瀋陽市長等が同行。

13日 大連市を訪問し、海軍361潜水艇の犠牲者家族を慰問。大連市は家族への補償につき現況を報告。

13日〜15日 大連市を視察。市政府に対し、温家宝総理重要講話の精神を貫徹し、現在の東北老工業地区振興の機会を逃さず、722日〜24日大連で開催されるASEM会合を大連発展のチャンスとして全市を挙げて万全の体制を整えるよう要求。

16日〜17日 丹東市を訪問。丹東化繊集団有限公司、丹東大東線圏電子有限公司、丹東曙光車橋有限公司、丹東五一八燃機集団有限責任公司等企業、鴨緑江西岸改造工事、三湾水利中枢工事等重点建設プロジェクト及び丹東市寛満族自治県の天然林保護工程を視察。

25日〜26日 瀋陽市の重点企業技術改造と重大プロジェクト進展状況及び故宮修繕工事、瀋陽農業高新区を視察。

 

4.中央・地方との往来

(1)聞世震省書記

19日 遼寧船舶工業発展戦略研究討論会に出席した張雲川・国家国防科工委主任と会見。

(2)中央幹部視察

531日〜63日 温家宝総理が鞍山市、本渓市、撫順市、瀋陽市を訪問。大型国有企業、NEU東軟集団、炭鉱地盤沈下地区(本渓市、撫順市)及び遼寧省疾病予防コントロールセンターを視察。

 

5.対外関係

(1)聞世震省書記

27日 李世基・韓中親善協会会長一行と会見。

(2)薄煕来省長

25日 ドイツ・バスフ社北東アジア公司総裁一行と会見。

(3)その他

16日 在中国シンガポール大使館商務参事官一行が訪問。劉克田副省長と会見。

20日 在中国オーストリア大使館商務参事官一行が訪問。劉克田副省長と会見。

 

6.省内各会議・イベント

 5日 省委、省政府は全省環境保護工作テレビ電話会議を開催。聞世震、薄煕来が出席。

 6日 省委は省領導幹部会議を開催。聞世震が講話、薄煕来、張文岳省政協主席等が出席。

 6日 省委、省政府は市委書記及び市長工作会議を開催。聞世震、薄煕来が講話。

 6日 薄煕来は撫順、本渓、朝陽、葫芦島の市長を集め、炭鉱地盤沈下地区住民の移住につき会議。

 8日 東北初のICチップ製造工場が瀋陽市南新区に進出。定礎式には、陳政高瀋陽市長、韓国STL公司社長、瀋陽科希−シリコン半導体技術第一有限公司董事、総経理等が参加。

 9日 省人代常委会第5次主任会議開催。社区建設、法制、工業振興等につき検討。

 9日 省政協第9期三次主席会議開催。文化体制改革、文化産業発展等につき議論。

10日 書記弁公会議開催。社会安定維持工作につき研究。聞世震が講話。

11日 東北地方初となる大連国家環境保護産業園区の定礎式が挙行。同区は面積5.06平方km、総投資額15億元。

20日 遼寧船舶工業発展戦略研究討論会が営口市で開催。張雲川・国家国防科工委主任、李長印・中国船舶重工集団公司総経理、聞世震等が講話。劉国強が司会。

23日 省SARS防止・治療工作領導小組第4次拡大会議開催。

24日 省委中心組は≪“三つの代表”重要思想学習貫徹の新高潮に関する通知≫と≪“三つの代表”重要思想学習綱要≫を学習。聞世震、薄煕来、張文岳等出席。

24日 省委は“三つの代表”重要思想学習貫徹の新高潮工作会議を開催。張文岳が講話。

25日 省委宣伝部、省委政策研究室、省委党校、省委党史研究室、省教育庁、遼寧社会科学院、省社会科学連合会は共同で“三つの代表”重要思想学習貫徹理論研究討論会を開催。聞世震が講話、張文岳が司会。

27日 省委は党風清廉政治建設責任制テレビ電話会議を開催。

28日 薄煕来は省政府党グループ拡大会議を開催。

29日 省委は建党82周年記念座談会を開催。聞世震が講話。薄煕来が司会。

30日 省政府工作テレビ電話会議開催。薄煕来が講話。

 

7.SARS関連

6日 瀋陽市台弁会と同市工商業連合会が共同で台湾・高雄等の医院に40万元相当、一万個の使い捨て防護用品を無償で提供。

7日 香港・江勝集団が瀋陽市に500万元のSARS義捐金を寄付。

25日 大連のSARS感染者(看護婦)三名が退院。省内のSARS患者はこれで全て退院。

 

8.その他

2日 葫芦島市沖合で140平方kmに渡る赤潮が発生。今年は先月28日に続き2度目。

10日 韓国SR開発建設株式会社は1億人民元余りを投じ無償で瀋陽市南新区と三好街を結ぶ橋建設を計画。

11日〜13日 瀋陽市中級人民法院は楊斌及び関連企業を被告とし公開裁判を実施。