中文 (Chinese)




総領事メッセージ
当館概要・アクセス
当館受付時間及び休館日
・ホーム > 総領事館案内 > 総領事メッセージ 戻る 印刷

総領事メッセージ

皆様お元気ですか。国慶節の休みはいかがお過ごしでしたか。「秋深き隣は何をする人ぞ」というように、中国東北地方もすっかり秋の気配が深まってきましたが、引き続き充実した日々をお過ごしのことと存じます。この9月には例年と同様、中国東北地方でも多くの国際会議や博覧会などが各地で行われ、私もこれらのイベントにはできるだけ参加するように努めてきました。東日本大震災の影響で一時は中国から日本への訪問者が減少しましたが、このところ徐々に回復してきていることは喜ばしいことです。日本から当地への来訪者も増加しており、様々な分野で活発な交流が行われています。当館としてもこういった交流をさらに推進していくために努力していきたいと考えています。以下、最近1ヶ月あまりの間に当館が関与した主な活動についてお知らせします。

 

■自治体交流と企業交流

9月6日から11日に吉林省長春市で行われた「中国吉林北東アジア投資貿易博覧会」に出席しました。今年で第7回目の開催となるこの博覧会は,中国及び北東アジア5か国(モンゴル,韓国,北朝鮮,ロシア,日本)を主な対象地域として貿易及び投資の活発化を図る取組で,中国政府も大変重視しています。今回は,日本から岡田秀一・経済産業審議官や,泉田裕彦・新潟県知事,平井伸治・鳥取県知事,堀井啓一・秋田県副知事等多くの要人が出席され,北海道,岩手県,富山県,宮城県,仙台市等自治体関係者も多数参加しました。中国政府要人との会見,ハイレベルフォーラム,企業視察,ビジネスマッチング活動など多彩な活動が行われ,会場は活気にあふれていました。展示会場には地方自治体紹介スペースが設けられ,岩手,鳥取,新潟,秋田,宮城の各県等が出展したほか,企業展示スペースにはトヨタ自動車,伊藤忠商事,住友商事,帝国製薬,豊臣(株)等が出展し,関心を集めていました。主催者によれば今回の博覧会には国内外から約5万人の参加者があったとのことです。

この期間中に長春市で行われたもう一つの重要な行事は「第11回日中経済協力会議」(9月8日)でした。この会合は日中経済協会・東北開発協会と中国東北三省と内モンゴル自治区及び日本の関係地方自治体との間で毎年開催されているもので,本年は上半期に実施する予定でしたが,東日本大震災の影響もあってこの時期になったものです。そのような事情もあり,今回は「日本の震災復興との日中経済交流」をテーマに意見交換が行われました。企業交流会では,省エネ・環境保護,電子機械(自動車),新素材,現代サービス業(物流,観光,金融情報産業等),対外貿易,長春保税区の6つの分野に分かれて企業商談が行われ,約80社の日本企業と約100社の吉林省企業が参加されたとのことです。なお,次回の会議は2012年に黒龍江省ハルビン市で開催されることになりました。

9月20日から瀋陽市で開催された「東北アジア発展フォーラム」に出席しました。今年のフォーラムは国際平和デー記念イベントの一環として開催され,日本からは村山富市元総理が出席されました。期間中,国際平和デー開幕式典,世界平和広場定礎式などの式典が行われたほか,遼寧大学で「調整,超越,Win-Win・世界が変革する中での北東アジア」をテーマとしたフォーラムが開催され,日本,モンゴル及び中国の専門家がそれぞれ,日中の中小企業交流協力,モンゴル・ドルノゴビ県及び遼寧省の協力の展望,北東アジア地域協力の新システム・新方法等の内容の講演及び交流を行いました。

9月22日に瀋陽市で開催された「第5回輸出入商品博覧会」開幕式には当館館員が出席しました。私は上記フォーラムに参加していたため出席できなかったので,その後博覧会場を個別に視察しました。今回の博覧会には,過去最大数の日系企業が出展したとのことで,国際パビリオンの大半を日系企業・自治体ブースが占めていました。特に近年,瀋陽市が積極的に推進している「現代建築産業革命」という政策を背景に,当地に進出を図っている我が国建設関連企業の出展は過去に例を見ないほど大規模で,モデルルームを再現したような出展は多くの来場者の注目を集めていました。建築関連企業だけでなく,金融,コンサル,機会設備製造等,当地瀋陽では最近,日系企業の進出が加速しており,この1か月の間にも多くの企業の方々と接する機会を持つことができました。

このように,自治体はもとより民間レベルでも着実に交流が進んでおり,大変心強く感じています
 

■青少年交流

次代を担う青少年交流は最も重要な交流の一つです。

9月5日、鉄嶺市で新幹線外国語学校の開校式典が行われ館員が出席しました。この学校は日本留学を目指す生徒を募集し、日本語を中心とした外国語教育を実践する学校で、当日は新入学生200名とその父兄の他、同校卒業生の受け入れを予定している日本の大学や専門学校等の関係者も多数出席しました。東北地方はもともと日本語学習者の多い地域ですが、このような形で日本語学習者のすそ野が広がっていることを心強く感じます。

9月10日、瀋陽薬科大学の創立80周年記念式典が開催され当館館員が出席しました。同大学が交流している日本の三重大学などの関係者約30名も出席していました。三重大学は、昨年2月に瀋陽薬科大学と間で交流に係る文書に調印し、同11月には三重県薬事工業会等が瀋陽で開催した三重県薬事産業展示交流会に出展するなど、産学官が連携して当地での交流に力を入れはじめています。こういった地道な取り組みが人材育成や産業振興など日中双方にとってよい成果を上げることを期待しています。

9月23日、当館において10月から日本に留学予定の国費中国人留学生を対象に交流会を開催しました。留学経験のある中国人を講師に迎えて留学生活に関する説明をしてもらったほか、留学生同士の交流などを通じて日本に行ってからの生活にある程度自信を持ってもらうことができたようです。私は、参加者に対し、国費留学生に選ばれ日本留学に行くことは大変光栄なことであり、心からお祝いする旨述べ、また東日本大震災や福島原発の問題などで周囲から心配の声がある中で日本留学を決心したことについて敬意を表しました。留学生の皆さんには、日本でたくさんのことを学び、帰国後、その経験を周囲の人々に伝えることを通じて、中国人の対日理解増進に貢献してほしいと思います。

このように日本留学を目指して努力している中国の学生を、日本の国や自治体、産業界及び民間教育機関などが連携して支援することで、将来の日中友好の懸け橋となる人材育成が進んでいます。

また、日中間の相互理解をさらに増進する上で、当地で学ぶ学生との交流も重要です。丹羽宇一郎在中国日本国大使が吉林省を訪問した際、9月7日に長春ふれあいの場、9月10日に延辺大学でそれぞれ中国人学生との交流会を実施しました。長春ふれあいの場では日本語を学ぶ長春市内の大学生13名が参加し、日本語で懇談をしました。延辺大学では、文系から理系まで異なる専攻の学生が20名参加しました。いずれにおいても、震災後の日本の状況や日本経済の現状等についての質問が活発に提起され、よい交流ができました。これらの交流会を通じて参加した学生の皆さんが日本に対して更に関心を深めてくれることを期待します。

 

■総領事レター「創造は蓄積から生まれる」

東北三省の要人約250名に毎月発出している総領事レター9月号で「創造は蓄積から生まれる」と題して、日本のモノづくりに関して、日本製品が内包している「日本的な美」とその背景にある日本文化の特質及びその中国への応用について私の考えをお伝えしました。以下、その一部内容をご紹介します。

・ 「日本的な美」の根本にある思想は、私の考えでは「自然との調和」、「気配り」及び「匠の心」に集約される。「自然との調和」を重視する姿勢は例えばデザインや色遣いなどにおいて、自然にできるかぎり近いものが好まれることに現れている。「気配り」は、多くの製品にそれを使う人の立場に立った工夫が取り入れられていることによく反映されている。日本製品が丈夫で使いやすいのはそのためだ。「匠の心」は技術と製品性能の向上などにこだわり、不必要と思われるほど多大な努力を払い、現在のレベルより少しでもよいもの、安全なものを求める生産者(現場)に見られる。

・ 最近、中国の新聞に「ハイレベル知識の導入ではより一層多次元的な効果を増大させよう」(8月23日付遼寧日報)という評論が載っていたが、この評論が指摘する「旧工業基地の全面的振興を実現するためには、詰まるところ人材に頼らねばならない」という意見には同感だ。人材育成により多くの投入が図られることを期待している。また、その際に、上記のような「日本的な美」の背景にある思想を参考にすれば、効果は一層高まるように思う。

・ 「ハイレベルの知識」は絶え間ない改善努力の蓄積そのものである。それは一つの「モノ」ではないのでまとめて全部移転してくることはできない。中国が「海外チームの導入」によって目指すべきは技術そのものの伝授より、開発の方法やそのための人材育成を促進することにある。それは長い時間のかかる作業になる。そこにこそ日本の「匠の心」を導入する必要性がある。「クリエイティブ・インダストリー」という中国の新しい目標に向けてこういった人材育成の面で日中協力がさらに深化することを望む。

以上、当館の活動についてご紹介しました。ご意見ご要望などありましたら、ご遠慮なくご連絡ください。

 

 


  2011年10月
在瀋陽日本国総領事
松本 盛雄

 

Copyright © Consulate-General of Japan in Shenyang
在瀋陽日本国総領事館