総領事レター(令和5年1月)

令和5年1月31日
   年初に当たり、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
 
   昨年は日中国交正常化50周年という重要な節目の年でありました。昨年11月には、岸田文雄総理大臣と習近平国家主席が初めて対面で会談し、日中関係の重要性を再確認し、岸田総理からは「日中両国は地域と国際社会の平和と繁栄にとって共に重要な責任を有する大国」であり、「建設的かつ安定的な日中関係」の構築という共通の方向性を双方の努力で加速していくことが重要である旨述べました。
 
   こうした共通認識の下、コロナ禍の影響もある中においても50周年を祝賀する様々なイベントが開催されました。例えば6月には「瀋陽ジャパンフェスティバル」が開催され、日系企業や日本の地方自治体による展示を行ったほか、日本の和食や音楽、武道といった日本の文化を多くの中国人の方に知ってもらう機会となりました。また、9月には日中国交正常化50周年記念レセプションを開催し、日中関係にゆかりのある多くの方々にご参加いただくことができました。
 
   このほか、日本と東北三省の間では、様々な文化交流や地方間交流が行われてきています。
   10月28日及び11月5日には、当館も支援した遼寧大学日本研究所「日中経済社会の発展と協力」シリーズ講演プログラムが開催され、日中経済貿易協力や中国の日本研究などをテーマに学術交流が行われました。
   11月4日には、岡山大学主催の「第八回岡山杯日本語スピーチコンテスト」がオンラインで開催され、東北三省内の大学から選抜された10名の学生が日頃の日本語学習の成果を披露されました。
   12月16日には、当館と長春市人民政府外事弁公室が共催で「日中国交正常化50周年記念日中漫画講演会」をオンライン開催しました。講演会では、漫画家の韓祖政氏を講師にお迎えし、芸術や漫画を学ぶ学生を対象に、漫画の魅力を語っていただきました。
   12月後半には、瀋陽市内において「日月同天―日中国交正常化50周年記念写真作品展」が開催され、日中両国の50年間の交流や東北三省と友好関係にある日本の道県との地方間交流に関わる写真などが展示されました。
 
   また、地方間交流に関する交流も積極的に後押ししています。
   11月中旬には、私が日本に帰国する機会を利用して、富山県や神奈川県を訪問し、新田八朗・富山県知事、黒岩祐治・神奈川県知事らとそれぞれ会見しました。富山県では、県産品振興への当館の協力事例を紹介しつつ、インバウンドを含む交流拡大に向けた支援要請がありました。また神奈川県では、本年に遼寧省との友好県省締結40周年を迎えるにあたり、関係者の訪中を含めた記念事業の実施に向けて協力していくことを確認しました。総領事館としては、両国国民交流の重要な要素である地方交流を重視しており、私からは改めて、地方交流の推進にできる限りの協力をしていきたい旨を伝えました。富山県については私自身も初めての訪問ではあり、短い滞在でしたが多くの魅力を発見し、この訪問を踏まえその魅力を皆様にお伝えし、今後の日本へのインバウンド拡大に努めて参りたいと考えています。
 
    
     新田富山県知事と筆者                   黒岩神奈川県知事と筆者
 
   11月24日には、村井嘉浩宮城県知事、韓俊吉林省長などの出席の下、「宮城県・吉林省友好県省締結35周年記念式典」が開催され、私もオンラインで参加しお祝いの言葉を述べさせていただきました。
 
   本年はまた、日中平和友好条約締結45周年という節目の年が続きます。また、癸卯の年であり、「癸」は物事の終わりと始まりを意味し、「卯」は安全や温和、また跳ね上がるという意味があることから、癸卯の本年は、これまでの努力が実を結び、勢いよく成長し飛躍するような年になると考えられています。コロナ禍の影響は昨年までとは異なる形で続きますが、当館としては、これまで積み重ねまいてきた日本と東北三省の交流の種を、今年こそは更に飛躍・推進させ、皆さまと共に大きく花開かせる一年にしてまいりたいと考えています。
 
   2月23日には、天皇誕生日祝賀レセプションを開催する予定であります。日本文化イベントや地方自治体、日系企業の紹介のほか、和食や日本酒、日本ワインなどを御用意して、皆さまをお迎えいたします。ぜひ皆さまにお目にかかれることを期待しております。
 
   最後に、総領事館としては引き続き、在留邦人の安全確保・支援と日系企業への支援を最優先で取り組むべき点は不変です。日本と東北三省の交流を一層後押しすべく、皆さまからもお力添えをいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 
 
   2022年12月に富山県2件目の国宝として指定されたばかりの勝興寺本堂(富山県高岡市。同寺のある富山県高岡市は鋳物の街として知られており、伝統工芸の銅器は富山県が誇る物産の一つ。)
 
 
在瀋陽日本国総領事             

2023年1月31日