総領事レター(令和5年9月)
令和5年9月19日
拝啓
爽秋の候、秋風が心地よい季節となりました。皆様におかれましては益々御清祥のことと存じます。
日中平和友好条約締結45周年の節目の年である本年は、先月8月12日に署名45周年を迎えましたが、来る10月23日には発効45周年を迎えます。日中国交正常化50周年を迎えた昨年9月、両国首脳間はメッセージを交換し、岸田文雄総理大臣からは「建設的かつ安定的な日中関係の構築を進めていきたい」とし、習近平国家主席からも、「私は中日関係の発展を非常に重視しており、新しい時代の要求に相応しい中日関係を構築するよう牽引していきたい」と表明されました。昨年に続いて、本年も様々な周年事業が両国において開催されてきており、当館としても、まさに日中平和友好条約にある「友好交流の促進」という目的に沿って、「経済交流」と「国民交流」の推進という共通目標の実現に向け、引き続き皆様と共に邁進してまいりたいと思っています。
日中平和友好条約を紐解いてみますと、条約には、「恒久的な平和友好関係を発展させる」「すべての紛争を平和的手段により解決する」といった、日中関係の礎となる、大変重く重要な原則が定められています。歴史の先人たちは、これらの基礎の上に、過去45年間にわたり、多難を乗り越えながら日中関係を発展させてきました。先般は日中平和友好条約を記念して遼寧大学で催行された周恩来写真展を視察し、改めて周恩来総理の日中関係にかかる功績に感銘を受けたところですが、とりわけ、同総理が生涯掲げた「小異を残して大同につく」という精神は、現在の日中関係にも息づく、大変意義のある知恵だと改めて考えさせられました。
昨今の日中関係は多くの課題や懸案にも直面しています。最近では、東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出について、中国国内では批判や懸念の声がありますが、我が国は人の健康や海洋環境に悪影響を与えるような形での海洋放出を認めることは断じてありません。海洋放出は科学的根拠に基づき、国際基準及び国際慣行に則り、安全性に万全を期した上で実施されており、放出開始後も各種モニタリングデータを迅速かつ透明性高く公表しております。
こうした日中間で見解の相違が顕在化している今だからこそ、改めて日中平和友好条約の精神を見つめ直し、課題や懸案について率直な対話を重ね、新たな時代にふさわしい、新たな次元の日中協力のあり方について、胸襟を開いて議論していくことが重要です。9月6日にASEAN関連会議に出席した岸田総理から李強総理に対してもこうした我が国の対応について説明を行い、双方の間では建設的かつ安定的な日中関係を進めていくことで一致しております。
私としても、今後も様々な行事が行われる中で、適時機会を捉えながら、皆様との交流を緊密にし、相互理解に努めていきたいと考えております。
先日私は長春において開催された日中経済協力会議及び中国-北東アジア博覧会に出席し、期間中、景俊海・共産党吉林省委員会書記とお話しする機会もあり、胡玉亭・吉林省長とは個別に会見し、日本と吉林省との間における経済分野をはじめとする各分野での交流について大変有意義な意見交換を行いました。
また、今夏、私は東北三省の各地を視察で訪れ、張国軍・牡丹江市長、胡家福・延辺朝鮮族自治州党委書記、盛効儒・同州琿春市党委書記、王吉・吉林市長、郝建軍・丹東市長等と順次会見しました。いずれの会見も、コロナ禍の収束に伴い、更なる日中交流の促進に向けた期待を肌で強く感じられるものでした。実際に面と向かって交流することが如何に意義のあるものか再認識し、コロナ禍を乗り越えた今、こうした交流を更に加速していきたいと考えています。お世話になりました皆様には改めて御礼申し上げますと共に、まだお目にかかれていない方々には近く機会を見つけてお会し、交流できることを楽しみにしております。
45年間の日中関係を支えてきたもの、そして、これからの日中関係を支えていくものは、国民同士の絆です。総領事館としては、国民交流の基礎となる、人的・文化交流にも力を注いでいます。これまで数か月の間にも、様々な日中文化交流が行われてきております。
5月20日には、「ニーハオ、瀋陽」在瀋陽外国人サッカー友好試合が開催されました。開幕式では各国のパフォーマンスが行われ、日本の文化紹介として極真空手道の披露がありました。
5月28日には、第25回瀋陽日本語弁論大会が開催され、各大学・高校の代表が日頃の日本語学習の成果を披露しました。
6月17日~18日には、瀋陽市にて「瀋陽ジャパンフェスティバル」が開催され、日系企業や日本の地方自治体が参加したほか、日中両国の文化紹介が行われ、多くの人で賑わいました。
6月28日には、「瀋陽万科中日産業園」協力パートナー企業入居・署名式が開催され、出席された王新偉・瀋陽市党委書記や呂志成・瀋陽市長と日本と瀋陽市の間での経済・文化交流の更なる促進や具体的案件について懇談しました。その際、同地で、瀋陽市外事弁公室との共催で「ニーハオ、瀋陽」日中文化交流イベントを開催しました。
7月24日から8月7日までは、先に言及いたしましたとおり、周恩来総理と縁の深い瀋陽市にて日中平和友好条約締結45周年記念「桜よ海棠よ永遠に-周恩来と日中友好」写真展が開催されました。
そして、地方間交流も国民交流を推進させる主軸の一つです。本年は神奈川県と遼寧省(40周年)、新潟県と黒竜江省(40周年)、山形県と黒竜江省(30周年)が友好提携の周年を迎えており、来年は富山県と遼寧省が40周年を迎えるところ、活発な記念行事などが実施されるものと確信しています。コロナ禍で途絶えた人の往来を再開し、今後の交流を再開する良い契機となることを期待しています。
最後に、改めて、在留邦人と日系企業に対する日頃の御支援に感謝するとともに、在留邦人の安全及び日系企業の円滑な操業の確保に万全を期し、そのための環境を整備するよう、改めてお願いしたいと思います。引き続きの御支援のほどよろしくお願い申し上げます。
爽秋の候、秋風が心地よい季節となりました。皆様におかれましては益々御清祥のことと存じます。
日中平和友好条約締結45周年の節目の年である本年は、先月8月12日に署名45周年を迎えましたが、来る10月23日には発効45周年を迎えます。日中国交正常化50周年を迎えた昨年9月、両国首脳間はメッセージを交換し、岸田文雄総理大臣からは「建設的かつ安定的な日中関係の構築を進めていきたい」とし、習近平国家主席からも、「私は中日関係の発展を非常に重視しており、新しい時代の要求に相応しい中日関係を構築するよう牽引していきたい」と表明されました。昨年に続いて、本年も様々な周年事業が両国において開催されてきており、当館としても、まさに日中平和友好条約にある「友好交流の促進」という目的に沿って、「経済交流」と「国民交流」の推進という共通目標の実現に向け、引き続き皆様と共に邁進してまいりたいと思っています。
日中平和友好条約を紐解いてみますと、条約には、「恒久的な平和友好関係を発展させる」「すべての紛争を平和的手段により解決する」といった、日中関係の礎となる、大変重く重要な原則が定められています。歴史の先人たちは、これらの基礎の上に、過去45年間にわたり、多難を乗り越えながら日中関係を発展させてきました。先般は日中平和友好条約を記念して遼寧大学で催行された周恩来写真展を視察し、改めて周恩来総理の日中関係にかかる功績に感銘を受けたところですが、とりわけ、同総理が生涯掲げた「小異を残して大同につく」という精神は、現在の日中関係にも息づく、大変意義のある知恵だと改めて考えさせられました。
昨今の日中関係は多くの課題や懸案にも直面しています。最近では、東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出について、中国国内では批判や懸念の声がありますが、我が国は人の健康や海洋環境に悪影響を与えるような形での海洋放出を認めることは断じてありません。海洋放出は科学的根拠に基づき、国際基準及び国際慣行に則り、安全性に万全を期した上で実施されており、放出開始後も各種モニタリングデータを迅速かつ透明性高く公表しております。
こうした日中間で見解の相違が顕在化している今だからこそ、改めて日中平和友好条約の精神を見つめ直し、課題や懸案について率直な対話を重ね、新たな時代にふさわしい、新たな次元の日中協力のあり方について、胸襟を開いて議論していくことが重要です。9月6日にASEAN関連会議に出席した岸田総理から李強総理に対してもこうした我が国の対応について説明を行い、双方の間では建設的かつ安定的な日中関係を進めていくことで一致しております。
私としても、今後も様々な行事が行われる中で、適時機会を捉えながら、皆様との交流を緊密にし、相互理解に努めていきたいと考えております。
先日私は長春において開催された日中経済協力会議及び中国-北東アジア博覧会に出席し、期間中、景俊海・共産党吉林省委員会書記とお話しする機会もあり、胡玉亭・吉林省長とは個別に会見し、日本と吉林省との間における経済分野をはじめとする各分野での交流について大変有意義な意見交換を行いました。
また、今夏、私は東北三省の各地を視察で訪れ、張国軍・牡丹江市長、胡家福・延辺朝鮮族自治州党委書記、盛効儒・同州琿春市党委書記、王吉・吉林市長、郝建軍・丹東市長等と順次会見しました。いずれの会見も、コロナ禍の収束に伴い、更なる日中交流の促進に向けた期待を肌で強く感じられるものでした。実際に面と向かって交流することが如何に意義のあるものか再認識し、コロナ禍を乗り越えた今、こうした交流を更に加速していきたいと考えています。お世話になりました皆様には改めて御礼申し上げますと共に、まだお目にかかれていない方々には近く機会を見つけてお会し、交流できることを楽しみにしております。
45年間の日中関係を支えてきたもの、そして、これからの日中関係を支えていくものは、国民同士の絆です。総領事館としては、国民交流の基礎となる、人的・文化交流にも力を注いでいます。これまで数か月の間にも、様々な日中文化交流が行われてきております。
5月20日には、「ニーハオ、瀋陽」在瀋陽外国人サッカー友好試合が開催されました。開幕式では各国のパフォーマンスが行われ、日本の文化紹介として極真空手道の披露がありました。
5月28日には、第25回瀋陽日本語弁論大会が開催され、各大学・高校の代表が日頃の日本語学習の成果を披露しました。
6月17日~18日には、瀋陽市にて「瀋陽ジャパンフェスティバル」が開催され、日系企業や日本の地方自治体が参加したほか、日中両国の文化紹介が行われ、多くの人で賑わいました。
6月28日には、「瀋陽万科中日産業園」協力パートナー企業入居・署名式が開催され、出席された王新偉・瀋陽市党委書記や呂志成・瀋陽市長と日本と瀋陽市の間での経済・文化交流の更なる促進や具体的案件について懇談しました。その際、同地で、瀋陽市外事弁公室との共催で「ニーハオ、瀋陽」日中文化交流イベントを開催しました。
7月24日から8月7日までは、先に言及いたしましたとおり、周恩来総理と縁の深い瀋陽市にて日中平和友好条約締結45周年記念「桜よ海棠よ永遠に-周恩来と日中友好」写真展が開催されました。
そして、地方間交流も国民交流を推進させる主軸の一つです。本年は神奈川県と遼寧省(40周年)、新潟県と黒竜江省(40周年)、山形県と黒竜江省(30周年)が友好提携の周年を迎えており、来年は富山県と遼寧省が40周年を迎えるところ、活発な記念行事などが実施されるものと確信しています。コロナ禍で途絶えた人の往来を再開し、今後の交流を再開する良い契機となることを期待しています。
最後に、改めて、在留邦人と日系企業に対する日頃の御支援に感謝するとともに、在留邦人の安全及び日系企業の円滑な操業の確保に万全を期し、そのための環境を整備するよう、改めてお願いしたいと思います。引き続きの御支援のほどよろしくお願い申し上げます。
在瀋陽日本国総領事
2023年9月19日
上記活動についてご覧いただけます。↓当館公式微博 ↓当館公式微信
2023年9月19日
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