総領事レター(令和2年12月)

令和2年12月1日
 このたび在瀋陽日本国総領事として着任しました片江学巳です。
 
 私は、1986年に外務省に入省後、北京大学等において中国語を研修し、その後中国に関係するいくつかの部署を経験し、約15年前、在上海総領事館で首席領事を務めました。瀋陽での勤務は今回が初めてです。中国は今や世界第二の経済大国であり、その発展ぶり、特にデジタル化の進展については日本でも話題になっています。今回、等身大の「デジタル中国」を自ら体験し驚いています。
 
 日中間では,9月、菅義偉総理大臣が習近平国家主席と電話会談を行い、両国が様々なルートで連携し、特に経済関係者の往来再開の早期実現に向け協議を行っていくことを確認しました。これを受け、11月30日から、経済関係者向けの「ビジネストラック」(B通道)が開設されました。これにより、日中間の人的往来が回復する方向へと進むことを期待しています。
 
 私は、着任後14日間の隔離期間が満了する当日(11月19日)の夜に初仕事をしました。それは、「瀋陽万科中日産業パーク」協力企業の署名式に招かれ,姜有為瀋陽市長と会見したことです。署名式では、いくつかの日系企業が戦略協力協定に署名しました。万科集団が主導し瀋陽市政府が支援するこのプロジェクトには、水素エネルギー、冷蔵物流、ソフト開発など、これまで日系企業13社の進出が決まったと承知しています。統計によれば、本年第3四半期までの日本から遼寧省への投資額は前年比14.6%増加しています。「瀋陽万科中日産業パーク」が日中経済関係の深化に寄与することを期待しています。
 
 また、私は、12月3~4日に初めて出張しました。日本と関係の深い大連市を訪問し、陳紹旺大連市長と会見し、金普新区の「北方国家著作権取引センター産業園」を視察しました。「北方国家著作権取引センター」は、2018年に設立された東北三省唯一の国家級著作権取引センターであり、「センター」を中心とする「産業園」は、文学、アニメ、ゲーム、映画、音楽など多くの分野における著作権取引の総合的なプラットフォームを目指しています。中国では、近年、著作権保護をより重視し、著作権取引の環境改善、発展に向けた取り組みを行っていると承知しています。「産業園」が、著作者の権利保護を確保しつつ日中間のコンテンツ交流を推進し、もって日中間の相互理解の増進に寄与することを期待します。
 
 東北三省には、在留邦人約6,500人が滞在しており、日系企業約2,300社が進出しています。総領事としての活動開始後わずか二週間の間に東北三省と日本との幅広い関係を切に感じることとなりました。在留邦人と日系企業に対する各地政府、各界の支援に感謝するとともに、引き続きの支援を切にお願いいたします。総領事としても皆様とともに交流拡大に努力したいと思います。
 
 今回、多くの皆様には、書簡の形でのご挨拶となりましたが、今後、直接皆様にお目にかかれることを楽しみにしています。皆様におかれましては何とぞ御指導のほどよろしくお願い申し上げます。
 
 
在瀋陽日本国総領事